『ムーンライト』
あらすじ
マイアミの貧困地域で、内気な少年シャロンは、母ポーラ(ナオミ・ハリス)と2人暮らしだったが、ポーラは麻薬中毒でほとんど育児放棄状態。学校ではリトルとあだ名され、いつもいじめられていた。シャロンにとって、同級生のケヴィンだけが唯一の友だちだった。そんなある日、いじめられているところをフアン(マハーシャラ・アリ)という男に助けられる。以来、フアンとその恋人テレサ(ジャネール・モネイ)に我が子のように目をかけてもらい、初めて人の温もりを感じるシャロン。高校生になっても、相変わらずいじめは続いていた。そんな中、唯一の友ケヴィンに対して友情以上の感情を抱き始めていたシャロンだったが…。
すったもんだでアカデミー賞作品賞を受賞した作品です。
作品賞を競った『ラ・ラ・ランド』に対し、こちらは地味というかなんというか。こういう映画がオスカー獲るのかあ、と思いながら観ました。どういう話かまったく知らずに観たので、その内容にちょっとびっくり。色んな説明をすっ飛ばして物語は進んでいきます。
主人公のシャロンを少年期、青年期、成人期で3人の役者が演じています。見て欲しいのがポスターの画像。これね、その3人の顔のパーツを切り取って1人の顔にしてるんだって。すごくない?
麻薬中毒の母親のもとで不遇な少年期を過ごしていたシャロンは、同級生からもいじめの対象にされる。体の線が細くてピタッとするジーンズを履いてるから「女っぽい。オカマだ」みたいな感じでいつもおちょくられてる。そんな時に助けてくれたのがフアンという男性。
それ以来シャロンはたびたびフアンの家を訪れ、フアンの恋人のテレサが作る手料理でもてなしてもらったり、相談に乗ってもらったりする。
フアン役のマハーシャラ・アリは、出番がトータルで20分くらいしかなかったのにこの作品でアカデミー賞助演男優賞を受賞しました。それくらい存在感がすごかった。
高校生になってもシャロンへのいじめは続き、唯一の友達だと思っていたケヴィンにも裏切られる。ケヴィンに対して友達以上の感情を抱いていたシャロンは深く傷つく。
そして大人になったシャロンは見る影もなく(?)ムキムキのマッチョになっており、故郷を離れてなにやらいかがわしいお仕事をしている感じ。そんな時、高校以来連絡を取っていなかったケヴィンから連絡があり、彼に会いに久しぶりに故郷へ帰ることにする。
こんな風に話は淡々と進んでいくのですが、なにしろ説明が少ない映画なので自分でその行間を補いながら観ないとついていけなくなります。
高校生の時、シャロンとケヴィンの間にちょっとしたハプニングがあって、それがまさかまさかのラストシーンにつながるとは思っても見なかった。ええっ!?これそういう映画なの!?ってラストでビックリです。妙にシャロンがかわいらしく見える(笑)。
ジャンル的にはヒューマンドラマ、なのかなあ。大きなくくりで純愛ものと言ってもいいかもしれない。だけどこれが作品賞ってさ!選考基準が全く分からないわね!
そもそも当初は15館くらいでしか上映しない予定だったのが、アカデミー賞効果で公開が前倒しになったり劇場増えたりしたらしいんだけど、つまり内容的には単館公開ものって話です。わたしも試写で観ましたし。とにかく地味。派手な宣伝は打てないジャンル。
ということで、
かといって『ラ・ラ・ランド』に作品賞を獲ってほしかったのかというと、200%それはないです。
コメント
ケヴィンの裏切りですがあれに関しシャロンは傷付いたりはしてないと思いますよ。
むしろケヴィンを救う(庇う)ことに対して誇りすら持った別れだと。
現場に居た衆人はわかってることだけど教師に名前を出さなかったですよね?
シャロンが裏切られたと思うならあそこでケヴィンと腐れレゲエの名前を出すことだってできたわけですよ。
何度も立ち上がったのだってケヴィンを守るために容赦なく打ちのめせってことですし。
それも踏まえてシャロンがずっとケヴィンに思いを寄せていたことがあってのラストで内心を素直に伝えたわけです。
コウさん
コメントありがとうございます。
もうずいぶん前に観たので記憶もあいまいで・・・。
なんだかシャロンの目が悲しそうだったのを覚えていたので、傷ついていたのかなと思ってしまいました。