『スポットライト 世紀のスクープ』
あらすじ
2001年、ウォルター(マイケル・キートン)やマイク(マーク・ラファロ)たちのチームは、「The Boston Globe」で連載コーナーを担当していた。ある日、彼らはこれまでうやむやにされてきた、神父による児童への性的虐待の真相について調査を開始する。カトリック教徒が多いボストンでは彼らの行為はタブーだったが……。
地味な作品ですが、2016年のアカデミー賞作品賞と脚本賞をW受賞しています。
海外における宗教って、わたしたち日本人が想像するよりもずっとずっと生活に根深く関わっている。日本だったらどこかのお寺の偉い人が不祥事を起こしました、なんていったらあっという間に報道されるはずだけど、向こうはやっぱりそうはいかないのね。ものすごくタブー。
ボストングローブ紙で「スポットライト」と呼ばれる特集記事欄を担当する少数精鋭のメンバーたちは、このタブーを嗅ぎ付けてはいたもののなかなか記事にできなかった。そこへ異動でやってきた新しい編集長のマーティ(リーヴ・シュレイバー)。この人、この土地にしがらみもないしユダヤ人だからバッサリやっちゃおうぜ、ってみんなを鼓舞する。
紅一点のサーシャ(レイチェル・マクアダムス)らの頑張りもあり、いよいよ記事にできそうだという時、あの「9.11」が起きてしまうんですね。もちろん教会のスクープなんてどうでもよくって、全員このテロの報道へと駆り出されるわけです。
やっぱり記事になんてできないよ。相手は教会だし訴えられたら絶対こっちが不利だし、だいたい今はそんな場合じゃないし。チームの士気も下がるというもの。
でもね、これは事実に基づいたお話なのです。こうして映画にもなるということは、当時アメリカを揺るがせた事件なわけで、きっちりと悪いことは暴かれているんですね。そこに至るまでの過程は観てのお楽しみということで、わたしが一番背筋が凍ったのはエンドロール直前でした。これがきっかけで似たような事件が起きた都市がどんどんあぶりだされて、その都市の名前がズラーッと出てくるんだけど、それがもうハンパない数だった。アメリカだけじゃなく、世界各国でこんなことが起きているらしい。
報道を観る側としては、事件の真相は全て知りたいと思うものだけど、事件の当事者、特に被害者はいろいろほじくり返されたくはないわけで。それでも勇気を持って証言するってすごいことだと思う。例え相手が告発されたとしても、自分が受けた虐待の事実や心の傷は決してなくなることはないのに。
そして信念を持って報道をしたスポットライトチームにも拍手を送りたいと思います。
ということで、/5
すんごい真面目な話なのに全然眠たくならなかった。