消えた声が、その名を呼ぶ

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消えた声が、その名を呼ぶ
消えた声が、その名を呼ぶ

あらすじ

1915年、オスマントルコで少数民族に対する弾圧が起きる。鍛冶職人としてつつましくも幸せな日々を過ごしていたアルメニア人ナザレット(タハール・ラヒム)は、突如として現れた憲兵によって妻子と引き離されて砂漠へと強制連行される。そこで同胞が殺されるのを目にし、自身も凄惨な暴行を受けたことによって声を失ってしまう。からくも死を免れた彼は妻と双子の娘との再会を目指し、砂漠を横断することを決意。その後、8年にわたって世界各国を回る過酷な旅を繰り広げることになる。

消えた声が、その名を呼ぶ

重たい内容、しかも2時間半という長丁場。絶対寝ると思ってたけど、スクリーンにくぎ付けで一瞬たりとも寝ませんでした。

まず知っておかなければならないのが、19世紀末から20世紀初頭に起きた「アルメニア人虐殺」という歴史的事実。オスマン帝国領内で150万人とも言われるアルメニア人が殺害されました。ナチスによるホロコーストと並び、「ジェノサイド(民族・文化などの抹消行為」と呼ばれています。強制連行されたアルメニア人たちは、徒歩で砂漠を越えて強制収容所へと移住させられました。まさに「死の行軍」です。

消えた声が、その名を呼ぶ
ナザレットもその死の行軍を歩いた一人でした。強制労働の後、仲間と共に斬首されそうになるのですが、敵の兵士はまだ良心があったのか、ナザレットの首を傷つけただけで放置します。それによって声は失ったものの、一命を取り留めたナザレット。やがて首を切った兵士が戻って来て、二人で逃げることにします。

山賊の一味に加わり、街から逃げてくる人たちを襲いながら生活していたナザレットは、ある日襲った人物がかつての知り合いで、その人から妻と子供がとある町に連行されていったという話を聞かされます。ナザレットは山賊を抜け、妻子を探す長い長い8年にも及ぶ旅へと出るのでした。

消えた声が、その名を呼ぶ
彼の旅は灼熱のトルコの砂漠からレバノン、キューバ、フロリダ、そしてはるか北アメリカのノースダコタまで続きます。ただひたすら、愛する家族を探すために一人で必死に生きていくナザレット。嫌な目にもたくさん遭いますが、それと同じくらいいい人たちにも出逢います。生活の面倒を見てくれたり、渡航のための交渉をしてくれたりする人たちのおかげで、ナザレットはゆっくりと、でも着実に家族の元へと近づいていきます。

たぶんこの人は相当運が良かったんじゃないかと思う。首を斬られなかったこともそうだし、偶然知り合いに会って家族の消息を聞いたこともそう。野垂れ死にしそうなところを善意で助けてくれた人、そこで再会したかつての部下、キューバで寝食の面倒を見てくれた人。とにかくいい人たちにいっぱい巡り会ってる(映画だからと言われればそれまでだが)。けれどそういう運の良さを全部ひっくるめても、虐殺行為に会ったという不運の方が大きかった。そんなものがなければ、そもそもこんな苦労はしなくていいんだもの。

原題は「The Cut」。劇中でいろんな意味を持っていると思う言葉。まどろっこしい邦題をつけたな、と思っていたけど、ラストに向かっていくにつれて、その意図するところもわかるようになっていきます。

民族が違うから、宗教が違うから、そんな理由で殺し合う理由が日本人にはイマイチわかりにくい。島国だし、多民族国家じゃないし、信仰心もあってないようなものだし。でもこういうことが行われていたんだということは知っておかなければならないと思う。

ということで、/5
ナザレットの名前は「ナザレ(イエス・キリストが幼い頃過ごした場所)」から取られているそうだ。

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