『ミクロの決死圏』
あらすじ
体内潜行を可能とする物体ミクロ化技術を研究していたチェコのべネス博士がアメリカへ亡命する。だが博士はスパイに命を狙われ、脳内出血に倒れてしまう。博士を救うべく、科学者チームは特殊潜航艇に乗り込み、ミクロ化されて博士の体内へと潜行していった。ミクロ化の研究はまだ途上段階であり、タイムリミットは1時間。はたして彼らのミッションは成功するのか?
第二回午前十時の映画祭、50本目のラストを飾ったのは「ミクロの決死圏」でした。この映画が最後って、なんかわたしがかわいそう(笑)。
以下、ネタバレあり。
いやぁ、なんだかなもう、な映画でした。怪我をした人の体の中に入って治療する、って発想は面白いと思うんですけどね。なにせ1966年の映画なんで、CGもなにもないわけですよ。体内をうごめく繊維みたいなものとか、もうとろろ昆布にしか見えないんですよ。
50年近くも前に観たら、「こりゃすごい!」っていう感じだったんだろうけど・・・。これ、今の技術で作ったらけっこうすごいモノ撮れるんだろうなぁ。
ただ、今の医学を持ってすれば、あんなのは外科手術で治せる(きっぱり)。
だいたい人間をミクロ化なんてしちゃって、元に戻った時に影響ないのかしら。しかも潜航艇もろともミクロ化したはずなのに、それを体内に置いて出てきちゃってんだよ。ミクロ化が有効なのは1時間だけなのに・・・・。潜航艇が体内で大きくなったら元も子もないじゃん(笑)。
潜航艇を動かす燃料が核物質なんだけど、それも体内に置いてきちゃったし(すごく小さいから平気なのか?)。その燃料、しかも素手で触ってたからね・・・。今の日本の現状からしたら、素人のわたしだってそりゃまずいと思ったわ。
あとですね・・・。音楽が終始耳障りだったんです。こんな嫌な映画音楽聴いたことないってくらい。ドラえもんがポケットから道具取り出すときの音を3倍くらい甲高くしたやつとか、キキキーンっていう音とか。それがなんとも耐えがたかったです、わたしには。
ということで、☆2つ。
なんか感動的な映画で朝10を締めくくりたかったよ・・・。震災の影響でクローズしてたので、スケジュール狂っちゃったせいもあるんだけどね。
そんなこんなで、まさかまさかの50本観了です。自分でもびっくり。毎週1本映画を観ることは全然問題ないんだけど、もちろん朝10以外にも映画は観ているわけで、多い時は週6本とかいう死にそうな時もありました(試写会ってなぜか連なるんだよね)。しかも朝10の上映は1週間しかないので、見逃したら終わり。他の映画館に行くっていう手もあるけど、地方だったりするのです。だから去年はまず「朝10ありき」で映画のシフト組んでました(大げさ・・・・)。いやほんと、マヂで。
震災後、わたしの中で一番変化したのは、「やりたいことはやれる時にやっておかねば」と思うようになったことでした。去年の3.11は金曜日。わたしはその日に「十二人の怒れる男」を観に行こうと思っていました。でも、どういうわけかそれを前日の10日に変更して、1日早く観てた。もし11日にそのまま観るつもりでいたとしたら、この映画は絶対に観ることができなくなっていたのです。(ウソです、他の映画館行けば観られたはず)
なんだよ、たかが映画1本を観るか観ないかで大げさな、って思われるかもしれない。ほんとにくだらないと自分でも思うんだけど、きっと被災した方の中には、あの日の夜映画を観に行く予定だった人もいたはず。それはデートだったかもしれないし、家族で観るつもりだったかもしれないし、一人でじっくりと観るつもりだったかもしれない。だけど彼らにはそれが叶わなかった。
震災直後、エンターテインメント業界は大打撃を受けました。「不謹慎だ」って言われて。確かに何かを楽しんじゃいけないような空気が流れてた。わたしもしばらくは映画を観るのを自粛した。だけどそれじゃ、その業界の人たちが生きていけなくなる。二次的な被害を受けていたのも事実です。
何ヶ月経った頃だろう、「そろそろ楽しんでもいいじゃない」っていう雰囲気になったのは。むしろ楽しもうよ。笑える人たちが笑っていないと、日本は明るくなんてならないよ。だからわたしは、1年に130本とかいうアホみたいな数の映画を観たのです。エンタメ業界に少しでも貢献できるように、自分自身が明るい気持ちで前を向けるように。
実際去年はいい映画がたくさんありました。一生の思い出になるような映画も何本もあった。それらは今でも、わたしの心の拠り所となっています。こういうのに出会えるからこそ、人生は素晴らしい。歌や踊りで人を感動させることって、ほんとにできるんだと改めて実感した年でもありました。
朝10を観始めた時はまさかこんな気持ちになるなんて思ってもいなかったけど、50本すべて観られてよかった。だって去年のわたしの目標、それしかなかったからね(笑)。
第三回はすでに1本目からコケて、観られても30本くらいになりそうです・・・・。
午前十時の映画祭 50/50本