十二人の怒れる男

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残念ながら地震の影響により休映になってしまった「午前十時の映画祭」(やってるところはやってます)。
地震前日に「十二人の怒れる男」を観ました。

十二人の怒れる男

『十二人の怒れる男』

あらすじ

ニューヨークの裁判所。18歳の不良少年が実父殺害の容疑で裁かれようとしていた。
12人の陪審員たちは評決の投票をするが、ただひとり陪審員8番だけが無罪を主張し、改めて審議が行なわれることに。
それでなくても疲れきっていた11人は苛立つが、8番の説得によって次々と無罪に転じていく。
以下、ネタバレあり。

1957年の映画。わたしのニガテなモノクロです。
だけど、全然眠くならなかった!すんごく面白かったのです。

場面は12人の陪審員たちがいる部屋のみ。まさに密室劇。
どうやら真夏の日のようで、男たちは見る見る間に汗だくになっていくのでこちらも観ていて暑苦しい。

裁かれるのは、父親を殺した罪で逮捕された17歳の少年。
12人全員が「有罪」と決めたら、彼は死刑が決定する。
仕事が気になる人、これからナイターを観に行く人、みんなそれぞれとっとと帰りたい事情があって、今までの裁判を見ていても少年は有罪だろう、だから12人の意見は一致するだろう、と誰もが思っていた。

だけど、ただ1人、陪審員8番だけは彼を「無罪」だと主張する。

ーーーいや、正確には「有罪かどうかわからない」だ。だから「有罪」と言い切れないのだ、と。

17歳の罪を犯した少年は、外見からするとたぶんアラブ系とかそちらの方の感じで、根底にはレイシズム(人種差別)が色濃く残っているのではないかと、わたしは思いました。
スラム街で育ち、まともな教育を受けていない人間が人を殺したって、なにもおかしくないだろうっていう偏った考え。
誰も真実を探ろうとしない。

現代から考えれば、警察は信じられないくらいずさんな現場検証しかやってなくて、陪審員8番が疑問に思った点を検証していくと、目撃者の証言はことごとくつじつまが合わないことが判明していく。
それによって、「無罪」の方向へと意見を変えていく陪審員たち。

たった一人、最後の最後まで「少年は有罪だ」と言い張っていた男も、ついには陥落。
結局12人の男たちは、少年に「無罪」という裁定を下す。

とかく日本人は、大勢と意見を同一にすることに安心感を覚えがちだ。
みんなが○と言ったら○、×と言ったら×。隣りと合わせておけば、とりあえず大丈夫。
だけどもしそこに、異を唱える人がいたとしたら。誰か1人でも「そうじゃないかもしれない」と言える人がいたとしたら。
自分の意見を貫くことも大切だと思う。でも、ちょっと他人の意見に耳を傾けることはもっと大切。
そこから今まで見えていなかった道が見えてくるかもしれない。誰かの人生まで変えてしまうかもしれない。

なんだかとってもスリリングで熱気のある男たちでした。
三谷幸喜の『12人の優しい日本人』は、この話が下敷きになっているそうです(観たことない)。

一つ残念だったのが、字幕の字がすごく見えづらかったこと。
あまりの暑さに男たちはジャケットを脱ぎ、白いシャツ姿になっていくんだけど、それに字幕がかぶって全然見えない。
他の場所に映すとか、字幕の色黒くするとか、今の技術ならできんじゃないの?

というわけで、☆4つ。
本当なら地震当日に観る予定だったこの作品。虫の知らせかなんなのか、観ることができたのは奇跡かも。

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コメント

  1. 25¢ より:

    1 ■無題
    この映画、大好きです。
    かなり昔に観たけど、気がついたら惹きこまれてました。
    http://ameblo.jp/aero58/

  2. はな より:

    2 ■◎25¢さん
    いやぁ、面白かったですねぇ。
    これってきっと、モノクロだからいいんでしょうね。
    無駄なセットが一切ない、本当の密室劇。
    わたしも惹き込まれました。

    そして昨日は「わたしを離さないで」を観てきました。
    正直、今の時期に観る映画ではなかった・・・。
    http://ameblo.jp/flower51/

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