許されざる者

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許されざる者
『許されざる者』

あらすじ

1880年、開拓が進む江戸幕府崩壊後の北海道。人里離れた土地で子どもたちとひっそりと暮らす釜田十兵衛(渡辺謙)だが、その正体は徳川幕府の命を受けて志士たちを惨殺して回った刺客であった。幕末の京都で人斬りとして名をとどろかせるも、幕府崩壊を機に各地を転々と流れ歩くようになり、五稜郭を舞台にした箱館戦争終結を境に新政府の追手をかわして失踪。それから10年あまり、十兵衛に刀を捨てさせる決意をさせた妻には先立たれ、経済的に困窮する日々を送っていた。そこから抜け出そうと、再び刀を手にする彼だが・・・。

許されざる者

かの有名なクリント・イーストウッド監督作品のリメイク、「許されざる者」。
公開1週目にしてすでに劇場はガラガラでしたね・・・。

以下、ネタバレあり。

これね、オリジナル版を観ている人と観ていない人じゃ全然感想が違うと思います。わたしは観ている派ですが、面白いくらいにオリジナルに忠実でびっくりしました。もっと日本風にアレンジ加えてるのかと思いきや、小道具やセリフまでおんなじだったりして。「確か次はこういうセリフだったよな」って思ってるところにドンピシャにそのセリフがくると、ちょっとうれしかったり。

ただもちろん、設定が変えられている部分も多々ありました。北海道でたった一人で新政府の追手全員を殺した後、姿をくらましていた十兵衛を見つけ出し、懸賞首を狩りに行こうと誘い出すのは、十兵衛のかつての仲間である金吾(柄本明)。しぶしぶながらも金吾の誘いに乗った十兵衛が、その道中で拾うのがアイヌの血を引く五郎(柳楽優弥)。だけど原作では、五郎が十兵衛を誘い出し、その途中で金吾を仲間に引き入れて行くのです。

許されざる者

十兵衛たちの狙いは、女郎のなつめ(忽那汐里)の顔にひどい傷をつけた堀田佐之助(小澤征悦)・卯之助(三浦貴大)兄弟。なつめが顔に傷をつけられても抵抗することができず、兄弟を厳罰にして欲しいと訴えても聞き入れられず、あげく慰謝料として女郎屋の旦那に馬を6頭差し出すことで片付けられてしまった事件に対し、怒った女郎たちが自分たちの貯金をはたいて懸賞金をかけて、この兄弟を殺してくれる人たちを募集しているわけです。

女郎たちはきっと好きで女郎になったわけじゃない。親に売り飛ばされたのかもしれないし、自身の借金のせいかもしれない。それでも彼女たちにだって人権はあるわけで、女郎って言うだけで蔑まされ、ろくな保障もしてもらえない、でももう泣き寝入りは嫌だ、あたしたちを見くびると痛い目見るってことをわからせてやる!っていう、一大決起なのです。

許されざる者

まぁでも、顔を切られてしまうようなことを言っちゃったのはなつめなんだけどね。男のプライドは傷つけてはいけないのです。はい。

女郎のボス・小池栄子が、相変わらず狂気の沙汰でしたよ(笑)。この人の振り切っちゃった演技、わたし好きです。

そんな女郎たちが住む街を取り締まっているのが、警察官の大石一蔵(佐藤浩市)。オリジナルだともっと純粋にただ街を守りたい警察の人だったのに、大石はただの暴力好きみたいな描かれ方しちゃってる。彼がこうなるに至るまでの過程とかもうちょっと見せてくれてたらよかったのに。

許されざる者

最初のターゲットである弟の卯之助を葬った後、金吾がいきなり戦線離脱。その意味がよくわからない。オリジナルでも離脱するけど、それは金吾(ほんとはモーガン・フリーマン)は誘われた身であるからまだわかるにしても、こっちの金吾は自分で十兵衛を誘っておいて、「やっぱり人殺しは嫌だからやめる」って、そりゃないでしょ。しかも石炭がどうのこうのっていう意味不明な理由を語りだす。それに納得する十兵衛。わたしは全然納得できてない。でも金吾はその後捕まって拷問にかけられても、十兵衛たちの居所は決して言わず、壮絶死を遂げます。

北海道という土地柄、アイヌを絡めたり屯田兵を絡めたりして、なんかより悲壮感が増している。十兵衛の死んじゃった奥さんがアイヌである必要も特になかったと思うし、そこらへんはちょっと無理やりな感じもした。

オリジナルを知らないとただの人斬りの話になっちゃうんだけど、ほんとは切りません。撃ちます。そして十兵衛にあたるウィリアム・マニーを演じていたのはクリント・イーストウッドですからね。カリスマ性が違うというかオーラが違うというか、やっぱりイーストウッドが映ってるってだけでものすごい存在感なんです。イーストウッドが撃たれるわけないじゃん、だってイーストウッドだもん、みたいな安心感(笑)。謙さんにそういうのがないっていうわけじゃないけど、どうしても比べちゃうんだよねぇ・・・・。

わたしはラストシーンが「なんでそこだけオリジナルと同じじゃないんだろう」とちょっと納得いってない。懸賞金を手に入れ、無事におうちに帰って子供二人と幸せに暮らして欲しかったのに、十兵衛は家に帰ってきません。替わりに五郎となつめが子供たちを育てていくっぽいです。えぇーーーっ!!!!

これがリメイクじゃなくて日本オリジナルの映画だったら、たぶん観に行ってなかったと思う。アカデミー賞を獲っている映画をリメイクしようなんて思っちゃったところがすごい。それが成功したかどうかは別として。

賛否両論ある映画ですが、わたしはストーリーうんぬんよりも細かい部分を模倣していてくれたところが楽しめました。果たして「許されざる者」は誰なのか。みんながみんな、何かしら抱えてる。

ということで、☆4つ。
金吾が拷問されてるシーン、一瞬モーガン・フリーマンに見えたのはたぶんわたしだけ。

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