最強のふたり

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最強のふたり
『最強のふたり』

あらすじ

不慮の事故で全身麻痺になってしまった大富豪のフィリップ(フランソワ・クリュゼ)は、新しい介護者を探していた。スラム出身の黒人青年ドリス(オマール・シー)は生活保護の申請に必要な不採用通知を目当てに面接にきた不届き者だったが、フィリップは彼を採用することに。すべてが異なる二人はぶつかり合いながらも、次第に友情をはぐくんでいき・・・。

最強のふたり
ずいぶん前にシネマート六本木で予告編を観て、こりゃ面白いに違いないと確信した「最強のふたり」。


見事、期待を裏切らないステキな映画でした。実話が元になっているんだって。第24回東京国際映画際で、主演男優賞をW受賞してたりもします。ハリウッドでリメイクも決定したらしい(ほんと?)。公開初週は満席続出で、2週目から大きな箱に移した映画館もあったくらいです。

以下、ネタバレあり。

二人の立場が真逆なのが、この作品のミソです。白人と黒人、障がい者と健常者、大富豪と貧乏人、一見すると相容れる部分なんて一つもなさそう。だけど、友情を育むのに、そんなものはまったく関係ないのです。

貧しいスラム街に育ったドリスだけど、わたしは頭がいいと踏みました。面接でフィリップが繰り出すハイソな質問に、絶妙の切り返しで答えていく。ベルリオーズ(作曲家)のことを「いったい何号棟の話だ?(つまり団地の名前だと思ってる)」とか言っちゃったりして、きっとそんな偉大な作曲家のことなんて知らないんだろうけど、もしかしたら知っててわざと言ってるの?みたいな。ボビー・オロゴンもちょっと間違えた日本語連発するけど、それってその言葉を知ってるから言えることであって。

ドリスのほかに面接に来ていた人たちはなんとかして職を得ようとして、いかに自分が介護に向いているか説明する。大富豪の介護だから、きっとお給料も高かったんだろう。だけどフィリップはそんな人を求めてはいない。最初は働く気なんてこれっぽっちもなくて、まして介護経験なんて0だったドリスは、フィリップを一人の人間として扱う。二人は「介護される人」と「介護する人」じゃなくて、ただの「人間」と「人間」として向き合っていくのね。そういう介護者は今までいなかったから、フィリップにとってもドリスは新鮮な存在だった。雪合戦で一方的にフィリップに雪玉を投げつけて、「たまには投げ返して来いよ!」なんて、ドリスにしか言えない。

最強のふたり

冒頭5分間の映像についてある人と意見が分かれまして。ドリス(無免許)が運転する車にフィリップを乗せ、夜のパリを疾走するシーン。実はこれ、映画の中盤に出てくるシーンを冒頭に持ってきているのです。スピード違反でいったん警察に止められたあと、うまくウソをついて難を逃れた二人は、ノリノリのドライブを続けます。そこでかかるのが、Earth, Wind & Fireの「September」。これがシネマ・ツーのaスタ(←ここ重要)でかかるわけですよ。わたしもう、鳥肌立っちゃってね。顔も思いっきりにやけてたと思う。たぶん一緒に歌ってたと思う。もちろんこの映画のために音響調整したわけではなく、ものすごくいい音ってわけでもないんだけど、それでも鳥肌。

ところが、なぜこのシーンを冒頭に持ってきちゃったのか、どうも納得いってない人がいましてですね。別に中盤もう一度このシーンが出てきたからって話が膨らむわけでもなく、なんのために最初に見せる必要があったのか、と。

ならば聞こう。冒頭に持ってこなかったとしたら、「September」はいつかかるのだよ。オープニングであの曲がかかるからいいんでしょうが!と、今となっては反論したいところですが、その時は封じられました(ゴーン)。

Earthの曲は、ほかにも「Boogie Wonderland」がいいところでかかります。ドリスの年齢でEarthが好き、っていうところも、なんだかわたしにはポイントでした。これがaスタ(←ここほんとに重要)で聴けたなんて、それだけでこの映画観た価値があったかも(言い過ぎかもしれない)。

ドリスは少々複雑な家庭に育っていて、それが原因でフィリップの元を辞めることになるんだけど、やっぱりダメなの。次にどんなに新しい優秀な介護者が来ても、フィリップの「相棒」は、ドリスじゃないとダメなの。

だからドリスは辞めた後も、フィリップに対してできるだけのことをしてあげる。なんだったら、恋の仲介だってしちゃう。二人の間に芽生えたものは、たぶん友情以上のものだったんじゃないかと、わたしは思いました。

ただ、ちょっと一言言わせていただくならば・・・。映画の最後、ご本人登場みたいな形で、フィリップとドリスのモデルとなった人たちが出てきます。ドリスのモデルの人、実は黒人ではなくて、(たぶん)アラブ系の人なんです。

あぁ、そうか。やっぱりこういうのは、白人と黒人っていう対比じゃないとあんまりインパクトないのかなぁ、と思ってしまったのです。もともと企画自体がドリス役のオマール・シーありきだったようなフシもあり、それは致し方ないことかもしれません。もしくは、レイシズムにちょっとだけ敏感なわたしが、感じすぎてしまっただけなのかもしれません。

ということで、☆6つ(5点満点で)。
今年の映画の中では「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」の次くらいに好き。

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