モノクロ映画って、なぜか妙に眠気を誘うのですが・・・。
そんな感じで観てまいりました「カサブランカ」@午前十時の映画祭。
『カサブランカ』
あらすじ
戦火近づく1940年の仏領モロッコ、カサブランカは、自由を求めて渡米しようとする人々で溢れていた。
ナイトクラブを経営するリック（ハンフリー・ボガート）の元へ、ナチの手を逃れてここまでやって来た抵抗運動の指導者が現れる。
だがその人物の妻は、かつてパリでリックと恋に落ちたイルザ（イングリッド・バーグマン）だった・・・。
以下、ネタバレあり。
わたくしまったくの初見でございました。
でも、観たことない人でもこのセリフは知ってるでしょう。
「君の瞳に乾杯」
英語では“Here’s looking at you, kid.”ですね。
女性を”Kid”と呼ぶあたり、憎い。そして日本語に訳した人に乾杯。
このセリフ、劇中で4回も出てくるからね。もういい、わかったよ、みたいな。
あとは
「夕べはどこにいたの？」
「そんな昔のことは覚えていないね」
「今夜、会ってくれる？」
「そんなに先のことはわからない」
とか。こんなこと言われたら、ものすごく悲しいけどね。
1942年の映画なので、70年近くも前に撮られたことになるんだけど、リマスターですごくきれいに直ってた。
そもそも「午前十時の映画祭」自体が、オリジナルニュープリントのフィルムで映画観ましょうっていう企画なので。
来年以降デジタル上映に移行が進むので、名作をフィルムで観られるのはこれが最後のチャンスかもしれないそうです。
カサブランカというのはモロッコの都市名で、フランスの保護領だったのが第二次世界大戦中にドイツ軍によって占領されたり、ポルトガル経由でアメリカへの亡命をしようとする人たちのビザの発給場所になっていたりして、さまざまな人種が入り乱れているところ。わたしには誰が誰だかよくわからなかった。
例えば、リックが経営するナイトクラブで、ドイツ人将校たちがドイツの軍歌を歌い始めると、それに対抗してフランス人たち（数は圧倒的にこっちが多い）が「ラ・マルセイエーズ（フランスの国歌）」を歌い始める。
それを見守るリックはアメリカ人。それぞれの国が、ギリギリの均衡を保っているような感じ。
やっぱり愛国心って、国歌を歌って表すんだよね、欧米諸国の人たちは。
これも日本人にはあんまりわからない感情かもしれない。
そんなこんなで、プロパガンダ映画だとも言われているようです。戦争中だもの、使えるものは使うよね。
渋・・・。
大まかな筋としては、アメリカに亡命するために夫とカサブランカにやってきたイルザがかつての恋人と再会し、さぁ、最後にはどっちを取るの？っていうお話です（そんな簡単じゃないですが）。
危険分子だと見なされている夫を国外に逃がしたい一方、リックと一緒にアメリカへ行きたい気持ちもある。
2人の間で揺れ動くイルザですが、実は撮影直前になっても、脚本ができあがっていなかったそうです。
だから演じているバーグマンも、いったいどっちとくっつくのかわからないまま演技をしていたらしい。
2パターンのエンディングを撮影して、最初の方が評判がよかったためにそっちを採用したみたいです。
そんなことって、できるのか。
それにしても、イングリット･バーグマンのきれいなことったら。
アメリカ人だとばっかり思ってたけど、スウェーデン出身だったなんて。
でも別名は「アメリカの聖女」
若干ハンフリー・ボガートと年齢差がありすぎるような気もするけど・・・。
最終的にイルザはリックを選ぶのだけど、リックはイルザを愛するが故、イルザを夫と一緒にリスボン行きの飛行機へ乗せてしまう。
夫はイルザとリックの関係に気づいていながらも知らない振りをして、妻と一緒に国外へと脱出する。
あぁ、これが大人の恋ってやつですか？
イルザはリックが好きだけど、もちろん夫のことも好き。でもどちらかを選べと言われたら、リックを選ぶ。
だったらいくらリックに「飛行機に乗れ」って言われたって、頑なに拒めばいいじゃない！なんで飛行機乗っちゃうのさ！
リックもリックだよ。そんなに好きなら、夫をどっかに縛り付けてでもイルザと一緒に飛行機乗っちゃえばよかったのに！
好き同士なのに結ばれないなんて、意味がわからない。
・・・その気持ちに納得できないようじゃ、わたしもまだまだ子供ってことでしょうか。
というわけで、☆4つ。
寝なくてよかったよ、ほんとに。古き良き映画でした。
