ウエスト・サイド物語

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ウエスト・サイド物語
『ウエスト・サイド物語』

あらすじ

ニューヨークのダウンタウン、ウエスト・サイド。移民の多いこの町では、かねてから対立関係にあるベルナルド(ジョージ・チャキリス)率いるプエルトリコ移民のシャーク団と、リフ(ラス・タンブリン)率いるジェット団の2つのグループが、ことある毎に衝突を繰り返してきた。ある日、ベルナルドの妹マリア(ナタリー・ウッド)は、兄たちシャーク団に初めてのダンス・パーティへ連れて行かれる。そこへジェット団のメンバーも現われ、2つのグループは競うように踊り始めた。そんな中、マリアはジェット団の元リーダー、トニー(リチャード・ベイマー)に出会い、互いに心を奪われる。だが、それは許されない恋の始まりだった・・・。

ミュージカル映画の金字塔、「ウエスト・サイド物語」。実はこれ、マイケル・ジャクソン好きにはたまらない映画なのですよ。

以下、ネタバレあり。

第34回アカデミー賞で、作品賞をはじめ10部門の賞を獲得した作品。文句なしのミュージカル映画です。あっぱれ。わたしは劇団四季の舞台は観たことがあったけど、オリジナルの映画版は今回が初めて。

ストーリーのベースは「ロミオとジュリエット」です。許されない二人の悲恋。舞台がヴェローナからニューヨークへ、時代が14世紀から20世紀へと変わっているだけで、流れは同じ。

音楽はレナード・バーンスタインが担当。ここもわたしのどツボでした。吹奏楽をやっている人間にとって、バーンスタインって必ず一度は通る道なわけで。この映画を観たことがない人でも、「トゥナイト」「アメリカ」「マンボ」は聴けば絶対に「あぁ、あの曲!」ってわかるはず。とくにマリアとトニーの掛け合いで歌われる「トゥナイト」は、ほんとにもううっとりしちゃう(でも歌は吹き替え)。

ミュージカルが苦手な人って、けっこう多いと思う。実はわたしもあんまり得意ではない(毎年観に行ってるけど)。日常生活で突然歌いだしたり踊りだしたりしたら、ちょっとあの人おかしいんじゃないの?って思われちゃうだろうし。ま、それがミュージカルの真骨頂なわけだから、ツッコミを入れる方がおかしいのであって。でも、毎日あんな楽しく歌って踊ってたら、なにも争う必要ないのにねぇ、なんて思ってしまう。決闘じゃなくて、ダンスで決着つければいいじゃないの!って。

その決闘の末、ベルナルドはリフを殺し、トニーはベルナルドを殺し、トニーはシャーク団のチノっていうのに殺される。みんな殺されて、「そして誰もいなくなった」状態。救われない。これって、たった2日間のお話なんですよ。マリアとトニーは出会った次の日に死に別れてしまう。よく考えると、トニーは自分の実の兄を殺した犯人なのに、それでもマリアは「あなたが好き~♪」とか歌っている。それってどうなんでしょうね?って言ったら、「若者の恋愛なんて、そういうもんだよ」とのお答えをいただきました。うーん、そうか。だったらわたしも、トニーを取る(え?)。

で、なにがマイケルか、ですよ。マイケル好きがこの映画を観れば一発でわかるのですが、マイケルさん、ここからいろんなことパクりまくりです。劇中の「Cool」のダンスシーンはまんま「BAD」だし、決闘シーンは「Beat It」そのもの。実際”Beat It !”っていうセリフも何度も出てくるし。極めつけは、「ブラックオーキッド」っていう香水まで出てきちゃったこと(これは偶然でしょう、って言われたけど)。マイケルはいろんな人や映画やミュージカルにインスパイアされて、自分の作品を作ったんだなぁってことがわかる。フレッド・アステアの動きもそうだし、ブラホワのパンサーパートは「雨に唄えば」の雨のシーンだったりするし。基本オリジナルって、そんなにない。だけどそれをあたかも自分自身が生み出したかのように見せてしまう。「なんだ、パクリじゃん」じゃなくて、なぜか「やっぱりマイケルってすごい!」って思っちゃうんだよね(笑)。でもほんとに一番すごいのは、オリジナルを作り出した人なんだけど。演出にしろ脚本にしろ。

50年も前の映画だから、古臭さは否めない。だけどそれでも観ていて楽しいし、ドキドキワクワクする。今時のCGやVFX使いまくり、なんでもかんでも3Dにすればいいみたいな映画も嫌いではないけれど、こうした珠玉の作品は、いつまで経っても色褪せないんだね、と感じました。

というわけで、☆4.5。
ジョージ・チャキリスは、バンクーバー五輪でウエストサイドの曲を作った鈴木明子選手に
激励の手紙とプレゼントを贈ったそうだ。

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