魔女と呼ばれた少女

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魔女と呼ばれた少女
魔女と呼ばれた少女

あらすじ

紛争終結の兆しがまったく見えない、コンゴ民主共和国。水辺の村でのどかに暮らしていた14歳の少女コモナ(ラシェル・ムワンザ)は、突如として反政府軍に拉致されてしまう。兵士としてゲリラ戦に駆り出される彼女だったが、亡くなった人々に導かれて戦いを勝利に導いていく。そんな亡霊が見える力に目覚めたことから、周囲から魔女として崇拝されるコモナ。しかし、ふとしたきっかけで自分がいずれ殺害されることを悟ってしまった彼女は、恋仲になった少年と逃避行を繰り広げることに。

魔女と呼ばれた少女

今年度アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品「魔女と呼ばれた少女」。カナダ大使館で行われた試写会にご招待いただきました。大使館の地下にけっこう立派な劇場があって、驚き。

以下、ネタバレあり。


なんというか、壮絶でした。実話ではないにしろ、こういうことが当たり前に起こっている国は実在します。

コモナは両親たちと普通に生活を送っていました。しかし、ある日突然ゲリラ軍が村を襲い、子供たちをさらって行きます。男女問わず。さらにコモナに対しては、銃を渡し「自分の両親を殺せ」というあまりに理不尽な命令が下ります。

なぜ?ほんの数分前までは、危険と隣り合わせながらも普通に暮らしていたのに。

銃をコモナに渡し、ゲリラは言います。

「おまえが殺らないなら、俺が殺す。斧を使って、もっと残忍な方法でな。」

銃を手に固まってしまったコモナに両親は言います。

「私たちのことはいいから、撃ちなさい。」

結局コモナは生まれて初めて手にした銃で、両親を撃ち殺してしまいます。

自ら望んでゲリラに加わったわけではないのに、各地を転戦させられるコモナたち。ある日コモナは死んだ人たちの姿が見え始め、その人たちに着いて行けば決して撃たれることはなかったため、いくつものゲリラ軍を取り仕切るカリスマから「魔女」と呼ばれ崇拝されるようになる。最初の内はちやほやされてよかったけど、自分は何代目かの魔女で、歴代魔女たちはみな殺されたと聞き、自分の運命を悟ってしまいます。

そんなコモナを連れて逃げ出すのが、ゲリラの中では先輩の「マジシャン」と呼ばれる少年でした。

わたしが思うに、マジシャンは「アルビノ」ではないかと思うのです。アルビノとはメラニン色素が薄い病気で、黒人でも肌が白かったりします(こういう言い方は好きではないですが)。初めて黒人のアルビノの人の写真を見た時、わたしは「こんなに色が白くても黒人と呼ぶんだろうか」と思った記憶があります。いったい肌の色が何を決めるというんだろう。色が違うだけで差別されるなんて、この病気の前にはまるで意味を為さない。マジシャンは皮膚の色こそ黒いものの、髪の毛やまつ毛が金髪でした。

魔女と呼ばれた少女

二人の逃避行に協力してくれた肉屋のおじさんのおかげもあり、やがてマジシャンとコモナは結婚を決意します。コモナは死んだ父から言われたとおり、求婚して来たマジシャンに「トサカの赤いニワトリを持ってきて」と言います。これはかぐや姫が求婚者たちに無理難題を言いつけたのと同じで、絶対に不可能なことの象徴みたいでした。(ちょっと記憶が曖昧・・・。確か「トサカの赤い」だったと思う。そんなの日本にいっぱいいるのに、と思ったので)

マジシャンはトサカの赤いニワトリがいる村があると聞きつけ、コモナを連れてその村へ向かいます。そこはアルビノ(と思われる)人々が暮らす村でした。

魔女と呼ばれた少女

わたし、そこに何か意味があるのかと思って考えたんだけど、そういうことではなかったのかな。特にマジシャンの髪の毛の色について言及される場面もなかったし、アルビノの村の人たちについてもスルー。わかる人にはわかる、ってやつなのかな。

無事ニワトリを手に入れたマジシャンとコモナは結婚。しかし幸せな時間もつかの間、二人はゲリラに見つかってしまう。そしてコモナの目の前で、マジシャンは首を切られて殺されてしまいます。

再びゲリラの元に連れ戻されたコモナは、ボスの子供を身ごもります。なんとかそこから逃げ出し(それもすごい方法で)、肉屋のおじさんを頼るものの、そこで問題を起こしてしまい
飛び出してしまうコモナ。一人ボートで川を下り、途中一人で子供を産みます。そしてその子供を連れ、かつての故郷へ両親の埋葬をしに戻るのです。もちろん骨なんて残っていない。

この先いったいコモナはどうやって生きていくのか。それはきっと当てもなく、たださまよい続けて行くのかもしれない。そんな不安を感じさせるラストシーンで映画は終わりました。

この地球のどこかで、今も理不尽な戦いは続いています。子供たちが意味もわからず銃を持たされ、何のために殺し合うのかもわからずに戦っています。平和ボケしているわたしたちには、絶対にわからない、感じることができない恐怖と緊張がそこにはあります。

上映館は都内でも1館しかありません。全国的に見てもとても少ないです。この映画はきっと多くの人の目には入らないだろうと思います。ただ、カナダ人の監督は「こういう映画を日本で公開できることがうれしい」と言っていました。わたしも観てほしいとは言えないけれど、こういう世界があるのだということを知れたのはよかったなと思います。こうして平和に生きていけることが、どんなに幸せなことなのか、改めて身に沁みたから。

ということで、☆4つ。
コモナ役のラシェル・ムワンザは、ストリートから見出されたまったくの素人だったそうです。

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コメント

  1. 通りすがり より:

    1 ■「トサカの赤いニワトリ」ではなくて、
    「白い雄鳥」ではありませんでしたか?

  2. はな より:

    2 ■◎通りすがりさん
    すみません、まったく覚えてないです・・・。

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