わたしに会うまでの1600キロ

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わたしに会うまでの1600キロ
『わたしに会うまでの1600キロ』

あらすじ

砂漠と山道を徒歩で旅することにしたシェリル(リース・ウィザースプーン)。旅をスタートさせる少し前、シェリルは母の死を受け入れられず、薬と男に溺れる日々を送り、結婚生活は崩壊してしまう。シェリルは人生について思い直し、自分自身を取り戻そうと決意。こうして彼女は旅に出たが、寒さが厳しい雪山や極度の暑さが体力を奪っていく砂漠が彼女を苦しめ……。

わたしに会うまでの1600キロ

シェリル・ストレイドという女性の実体験をつづった小説が原作となっているこの映画。アカデミー賞主演・助演女優賞にもそれぞれノミネートされていました。

夫と離婚し、人生をリセットする為にシェリルが選んだのは、改姓すること、そしてパシフィック・クレスト・トレイル(PCT)を踏破すること。

映画は彼女がPCTに挑戦するところから始まります。PCTというのはアメリカ西海岸を南北に縦断する過酷な自然歩道で、全長は4000km以上あるとも言われています。その距離をだいたい半年かけて走破するらしいのですが、そのうちシェリルが歩いたのは1600km。青森から鹿児島くらいの距離だそうです。で、その歩いている行程の中で、彼女の過去を振り返るシーンがちょいちょい入ってくるっていう構成。

シェリルはすごくいい旦那さんがいたのに、自身がセックス依存症で浮気を繰り返し、挙句の果てにヘロイン中毒になって男と駆け落ち。旦那さんは彼女を必死で探し出して、一緒に治療しようって言ってくれる。でも結局離婚することになって、シェリルは姓をストレイド(Strayed)に改姓する。英語の”Stray”は「さまよう」とか「はぐれる」とかいう意味。”Stray Cat”で「野良猫」になる。シェリルは自らを「野良シェリル」って名乗るわけです。もう定住するところがない、だから山に登ろう、みたいな(そこまで短絡思考ではないけど)。アメリカって自分で姓を作れるんだね。すごい。

わたしに会うまでの1600キロ

PCTを踏破してみようと思ったのも、どこかでチラ見したガイドブックを思い出して、なんの準備もせずにとりあえず現地に向かっちゃった。登山経験なし、どうでもいい荷物ばっかり持ってきてリュックは激重で立ち上がることすらできない。序盤からもう不安要素がパンパンのスタート。

歩き始めてまもなく、自分が持ってきたガスボンベが使えないことが分かり、いきなり食糧危機。煮ないと食べられないドライフードをそのままボリボリ食べるしかない。にっちもさっちも行かなくなったとき、トラックに乗った老人を見つけて助けを求める。車の中には拳銃があり、もしかしたらわたしヤバいかも?と思いつつ、もう空腹には耐えられないのですよ。極限状態。

何日も歩いてると、同じくトレイルしている人たちに出会うこともあり、荷物の減らし方を教えてもらったり食事をさせてもらったりする。でも女性ならではの危険っていうのはやっぱりあるわけで、そういうサスペンス的な要素もちょいちょい挟まれるので観ていて飽きなかった。

シェリルがこんな無謀な冒険に出たのは離婚だけが原因じゃなくて、最愛の母親(ローラ・ダーン)の死も関係してる。母親は夫からひどい暴力を受けていて、まだ幼かったシェリルとその弟を連れて家を出て以来、ずっと女手一つで子供たちを育ててきた。シェリルが大学に入学し、ようやく子育てが終わったと思ったら、末期ガンで45歳の若さで亡くなってしまう。

わたしに会うまでの1600キロ
シェリルからしてみたら、母親の人生なんて一つもいいことがなかったように見えるわけです。夫から暴力受けて、家を出てからはずっと貧乏で。でも母親はなぜかいつも楽しそうで、サイモン&ガーファンクルの「コンドルは飛んでいく」をよく口ずさんでいる。「ねえお母さん、あなたの人生楽しいことなんて何もなかったでしょ?」そう問いかけるシェリルに母親は「結婚は失敗だったけど、あなたっていう素敵な娘を得ることができたわ」と答える。ジーン・・・・。それなのに親孝行する前に死なれちゃって、シェリルとしては後悔の念でいっぱいだったと思う。シェリルが山を登ってる最中、「コンドルは飛んでいく」が流れるシーンがあって、歌のイメージ(アンデスの歌でしょこれ)と山登りが妙にマッチング。ちなみにローラ・ダーンって、『ジュラシック・パーク』のエリー・サトラー博士ね。

山に登っている間、誰と話すわけでもないし周りは景色しかない。だから無になって自分自身を見つめ直すことができるんだって。実際この原作の小説が発売されてから、アメリカではこんなふうに山に登る人が劇的に増えたんだとか。いわゆる「自分探しの旅」ってやつ?

わたしに会うまでの1600キロ
もちろん全員が踏破できるわけはなくて、途中で脱落して行く人も多い。そんなことになっちゃったら、余計自分を見失わないかな・・・・?

でも、例え突発的で準備不足で、靴のサイズが合わなくて爪がはがれちゃうような失敗をしたとしても、彼女のその行動力は素晴らしいと思う。人生に行き詰って、どうにかしたい、自分を変えたいと思ったところで、何もできずにただもがいてる人が大半だと思うんだよね、世の中って。山を登ることがベストな選択かどうかはわからないけど、とにかくそんな無謀なことをやろうと思い、実際にやっちゃったシェリル・ストレイドって人はほんとにすごい人なんだと思う。

ということで、/5
原作を読んでみたくなりました。

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