『レスラー』
あらすじ
かつては人気を極めたものの今では落ち目のレスラー、ランディ(ミッキー・ローク)。ある日、ステロイドの副作用のために心臓発作を起こし、レスラー生命を絶たれてしまう。家族とはうまくいかずストリッパーのキャシディ(マリサ・トメイ)にも振られ、孤独に打ちひしがれる中で、ランディは再びリングに上がる決意をする。
「レスラー」の試写に行ってきました。
もうちょっとタイトルひねれなかったのかと、惜しまれますねこの映画。
主演のミッキー・ロークがアカデミー賞主演男優賞にノミネートされるものの、
「ミルク」のショーン・ペンに持って行かれてしまいました。
でもゴールデン・グローブ賞やベネチア国際映画祭で最高賞を取っています。
わたくし、ミッキー・ロークという人の人となりをまったく知らなかったので、ミュージシャン?本物のレスラー?とか思っていたんですが、れっきとした俳優さんでした。かつては「目が合うだけで妊娠する」とまで言われたほどのイケメンだったらしいのですが、プロボクサーに転向してボッコボコに殴られ、整形手術を繰り返したあげく、私生活も乱れまくり、映画同様落ち目になってしまったようです。昔、両国国技館でもボクシングの試合をやったことがあるみたいで、でもあまりのへなちょこぶりに「猫パンチ」と揶揄されてしまったんだとか(* ̄m ̄)プッ
でもわたし、この人嫌いじゃないです。むしろ好きかも。なんかおちゃめなおじさんなんだもの。
落ち目とはいえ、レスラー仲間からはものすごく慕われてる。スーパーでバイトしつつも試合に出続けていて、そのほとんどが八百長なんだけれども、みんながランディを勝たせてくれるのね。腐っても鯛。昔はスーパースターだったから。
途中、スーパーで水を得た魚のように生き生きと働き出すところ、面白かった。ランディって名前なのに、なぜか「ロビン」って名札付けさせられたりして。
だけどその反面、犠牲にしてきたものも多かった。娘が1人いるんだけど、ろくに面倒も見ず今では絶縁状態。でも自分が心臓発作で倒れた時、初めて家族の必要さを身にしみて、久々に娘に連絡をしてみる。
一度は相手にもされず追い返されるものの、キャシディの助言もあり、なんとか仲を修復。
しかし、次の約束をしたある土曜日、事件が起きてしまうんだな・・・。
もうなんだか、観てて切なくなった。不器用で、なかなか周りに心を開けなくて、なにやってんだよって思う。だけどそうやって生きてきたんだから仕方ない。そうやって生きていくしかない。せっかく想いを打ち明けたキャシディにも振られてしまうし。
人間、守るべきものがなくなると、自分なんかどうでもよくなっちゃうんだろうか。そんなやりきれないものが心に残りました。
しかしあれだね、最近は「結末は観てる皆さんのご想像にお任せします」オチが流行ってるのかね?この映画も、ありえないところで終わります。場内、全員の頭の上に「?」が浮かんだと思う。まぁ、なんとなく結果はわかるような気はするんですけども・・・。
あと、なぜかランディを背中から追うカメラワークがやたら多かった。あれはなんか意味するところがあるのかな?・・・そうか、背中で語っているのか。
まだ「ミルク」を観てないからわかんないけど、この人にオスカーをあげて欲しかった。そしてまたたくさん映画に出て欲しい。あのたくましすぎる体、もったいないもの。
凄惨な試合のシーンにはちょっと耐えられなかったけど、観る価値はあると思います。
ということで、☆4つ。
エンドロールの最後まで観ても、結末はわかりませんでした。