第9地区

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「第9地区」を観てきました。
無名の監督・キャストにも関わらず、アカデミー賞作品賞候補にまでなっちゃった映画。

第9地区

『第9地区』

あらすじ

ある日、ほかの惑星から正体不明の難民を乗せた謎の宇宙船が、突如南アフリカ上空に姿を現す。
攻撃もしてこない彼らと人間は、共同生活をすることになる。
彼らが最初に出現してから28年後、共同居住地区である第9地区のスラム化により、超国家機関MNUは難民の強制収容所移住計画を立てるのだが・・・。

第9地区

以下、ネタバレややあり。

なぜ宇宙船が、ハリウッド映画にありがちなニューヨークだとかロスだとかではなく、ヨハネスブルク上空に現れたのか。
そこにこの映画の皮肉が込められています。
かつて南アフリカには「アパルトヘイト」という、いわば人種差別がありました。
白人と黒人の住む場所を地区として分け、完全に分離していたのです。
それになぞらえての、「第9地区」。
ということを知っておいた上でこの映画を観ると、また別の視点から理解できると思います。
製作陣は「メタファー(隠喩)ではない」と否定しておりますが。

さて、増えすぎてしまった宇宙人たちを「第10地区」へ強制移住させるためのプロジェクトのトップに任命されたヴィカスは、思いがけない昇進にかなり張り切ってしまう。
宇宙人(通称エビ)たちが住む第9地区の1軒1軒を訪問し、退去のためのサインをもらっていく。

なぜ宇宙人がエビと呼ばれているかと言うと、見た目がまんま、エビだから。
最初はもう気持ち悪くて、背中がゾワゾワしてきます。意味わかんない言葉しゃべってるし。
でも、人間たちはなぜかエビ語を理解し、エビたちも人間語(英語ですわ)を理解している。
ってことは、お互いがお互いを勉強し、それなりにうまくやってきたんじゃないか、とも思うのだが。

だんだん人間とエビの境界があいまいになってきて、人間がエビ相手に不当な商売を始めたり、エビが人間の住む地域に押し入って暴れたりするようになって、ギクシャクし始めるんだ。

ちなみにエビは、ネコ缶が大好物。ウケる。

で、意気揚々と第9地区をまわっていたヴィカスに悲劇が。
エビに襲われて、腕を負傷してしまうのです。
それからが大変。なんとその腕からエビウイルスみたいなものに感染し、半人半エビになってしまうのです!

第9地区

かわいそうなヴィカス。家族にも信用されず、ひたすら逃亡を続けることに。

第9地区

観ている側は、最初は完全に人間派なわけですよ。エビなんて追い払ってしまえ、と。
でも、物語が進むにつれ、どんどんエビ派になってしまうのです。エビ、がんばれ!って。
なぜなら半エビ化してしまったヴィカスを助けようとするエビが現れるから。
そこらへんの葛藤っていうのは、観てもらわないとわからないんだけど。

なんとかして人間に戻りたいヴィカス、なんとかして自分の星へ帰りたいエビ。
どっちの希望が叶うのか、はたまた両方とも叶わないのか。

下手なハリウッド映画よりもよっぽど面白かったです。

そもそも難民としてやってきたエビたちを、やさしく受け入れてあげた人間って、すごくない?
あんな宇宙船に攻撃を仕掛けられたらたまったもんじゃないと思ったのかもしれないけど。

果たして人間、エビの双方にとって、シアワセな未来は来るのでしょうか。
それは観てのお楽しみ。

第9地区

ってことで、☆4つ。
ラストがまた、切ないっす。

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