『ライムライト』
あらすじ
チャップリンの「ライムライト」を観ました@午前十時の映画祭。お恥ずかしながら、これがわたしの初チャップリン映画。
以下、ネタバレあり。
人生への絶望から自殺を図った踊り子テリー(クレア・ブルーム)を救った老道化師カルヴェロ(チャールズ・チャップリン)は、愛に溢れた笑顔をもって彼女を元気づけた。
今の彼にはかつての栄光はなく、生活も楽ではなかったが、何故かこの少女を見捨てることはしのびなかったのだ。大切にしているバイオリンさえも質に入れ、彼女の回復を祈るカルヴェロ。やがて職を得て、さらに作曲家ネヴィルからも気に入られ、とんとん拍子でスター街道を進んでいくテリー。ネヴィルはテリーに惚れこむものの、彼女の心の中にはずっとカルヴェロがいた。そしてカルヴェロはそれまで気乗りしなかった舞台にも立つ決心をするが・・・。
チャップリンといえば、ダブダブパンツにちょびヒゲのイメージが強いけど、これは素顔と道化の両面が観られる映画。最初に出てきたチャップリンがチャップリンだとわからず、いったい誰なのこれ、ってずっと思ってた。
かつて大道芸で頂点を極めたカルヴェロ。でも今は歳を取り、しかも選り好みするのでさっぱり仕事がない。そんな彼と同じアパートに住むテリー(それまで面識は一切ない)が自殺を図っているのを発見し、自分の部屋で介抱する。一命を取り留めたテリーは徐々に回復し、彼女が再び舞台に立てるよう励まし続ける。そんな父と娘ほども歳の離れた二人に、いつしか愛情らしきものが芽生えていく。
もうなんだか、セリフすべてが格言のようだった。カルヴェロは、とりあえず朝食食べろってうるさい(笑)。明日に希望が見えず、生きる自信を失くしているすべての人に観てほしい映画。いや、観たからって希望が持てる内容でもないんだけれども。
テリーに「舞台に立て」って言うくせに、自分は依頼された仕事をやりたくないといって断ってしまう。かつてはあんなに大勢の客の前に立ってどっかんどっかん笑わせていたのに、なんでこんな小さな仕事しなくちゃならんのか、って。それを知ったテリーが、今度は逆にカルヴェロを叱り付ける。舞台に立て、と。
そしてようやく手に入れた仕事で大失敗。カルヴェロはすべてにやる気を失くしてしまう。つい道化になって自分の気持ちを茶化し、テリーへの愛をも捨てて姿を消してしまう。
実はテリーにはかつて思いを寄せていた人がいて、テリーがその人に偶然再会したことをカルヴェロは知ってしまう。だから身を引いた、っぽくなってるけど、最初っからカルヴェロはテリーのこと好きだったのかな?テリーはずいぶんカルヴェロにご執心だったけど、なんかお互い同情から惹かれあってたように見えた。
舞台の主役にも選ばれるようになったテリー。どんどん落ちぶれて、ドサ回りのようなことをやっているカルヴェロ。
探し続けたカルヴェロをようやく見つけたテリーは、最後の一花を咲かせようと彼を舞台に立たせる。かつての仲間とコンビを組み、舞台に立ったカルヴェロ。観客は割れんばかりの大盛況(若干サクラがいた?)。
―――――――――――――――――――そしてカルヴェロは、舞台袖で命を落とす。
切ない。これに尽きる。役者は舞台の上で死ぬことができれば本望だ、なんていうけど、ほんとにそうなのかもしれないね。舞台を降りたらただの人。喝采を浴びることができるのは舞台の上だけ。だったら、自分が一番輝いているときに天寿を全うしたほうが、後味がいいっていうかなんていうか。
カルヴェロは最後の最後で、またかつてのような栄光を取り戻した。だから悔いはなかったと思う。それに比べて・・・・(あとはお察しください)。
この映画を観た後、チャップリンにはまってしまいまして、動画を観まくりました。今一番観てみたい映画は『モダン・タイムス』。”Titina”っていう曲で初めてチャップリンが肉声を披露したもの。この映画のエンディングには、あの”Smile”が流れます。だからこそ、観たい。
ちなみにこの曲、完全なチャップリン語です。めちゃくちゃ。
ということで、☆4.5。
ところで、バスター・キートンはどれ?
午前十時の映画祭 17/50本