『誰も知らない』
あらすじ
けい子(YOU)は引っ越しの際、子供は12歳の長男の明(柳楽優弥)だけだと嘘をつく。実際子供は4人いて、彼らは全員学校に通ったこともなく、アパートの部屋で母親の帰りを待って暮らしていたが・・・。
平日の昼下がり、名画座で映画を観る贅沢(会社行け)。そんなわけで「誰も知らない」を観てきました。是枝監督2本立ての1本目。実は観たことがなかったのね、この映画。
以下、ネタバレあり。
2004年のカンヌ国際映画祭で、柳楽くんが最年少で主演男優賞を受賞した映画です。当時あれだけセンセーショナルだったにも関わらず、さっぱり観に行こうとしなかったわたし。なぜだ。
内容はあまりにも有名なので、特筆しません。1988年に発生した巣鴨子供置き去り事件を題材として、是枝監督が15年も構想を練ったんだそうです。
まぁね、お母ちゃんも人の子だし、女だし、自分の人生謳歌してもいいとは思うんですけどね。子供4人も産んどいて、そりゃないでしょ。堕ろさずに産んだってことは、最初はきちんと養育していくつもりだったのかもしれない。しかし出生届出してない時点で、この国における「人間」として育てていくつもりはなかったのかも。存在はするけど、認められてない。もしかしたらそういう子供って、けっこういたりするのかもしれない。でも、病院で産んだら出産した事実は残るよね?ってことは自分一人で産んだのかしら。
子供たちのセリフは、ほとんどアドリブだったと聞いた気がします。監督は子供たちにシチュエーションの説明のみを与えて、あとは子供たちが自由に動いたりしゃべったり。YOUのセリフで柳楽くんがちょっと吹き出しちゃったりするのも、たぶんそんな状況で撮影されていたからだと思う。なんかYOUが言うセリフで1つすごいのがあって、それも彼女のアドリブだったんでさらにびっくりしたっていう話を聞いたんだけど、どのセリフだかさっぱりわからなかった。だってYOUもほとんど全部アドリブみたいなもんじゃん(笑)。
長男の明くんは、母親が出て行った後、最初こそ妹や弟の面倒をきちんと見ているけど、同世代の普通の子供たちとの違いを呪い、だんだんイライラを募らせて、ついに爆発。それを弟にぶちまけるシーンがすごかった。アドリブであれができるんなら、たいした役者だよ柳楽優弥。
そしてなによりびっくりしたのが、高校生の水口紗希役の韓英恵ちゃんが小学生だったこと!
なんか、すごいね。ものすごく気になるわこの子。特に名前が(笑)。
終盤、母親が置いていったお金が底をついて、見るも無残な生活に陥っていく子供たち。押入れに残ってたヴィトンのトランクを見て、わたしは心の中で
「それを売れ!けっこういい金になるぞ!!!」
と叫びました(笑)。そういう知恵はないんだな、子供にはきっと。まるで価値のなさそうなもの売ろうとしてたから。それを売ったくらいのお金じゃ、もうどうしようもないところまで行っちゃってたんだけどね・・・。
ということで、☆4つ。
最近こういう事件、多いよね・・・。近所との関わりが薄くなっている証拠なのかも。