『チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~』
あらすじ
妻に愛用のバイオリンを壊された音楽家ナセル・アリ(マチュー・アマルリック)は、代わりのバイオリンを探したが見つからず、とうとう死ぬことにした。ベッドに横たわったナセル・アリは人生を追想する。修行の日々から人気者だった時代、大好きなソフィア・ローレンとチキンのプラム煮、そして成就しなかった恋。数々の思い出がナセル・アリの脳裏によみがえる。
舞台は1958年、イランの首都テヘラン。みんなフランス語しゃべってるからなんか妙だけど、そこはかとなく漂うフレンチっぽさ。実際のイランって、あんな街だったのかなぁ。ちょっと小奇麗に描かれすぎているかもしれない。まるで絵本をめくるみたいな感覚。監督さんがアニメーターだか絵本作家だか、だっけ?
観た人の感想は、たぶん賛否両論な映画だと思う。わたしも実際、ちょっと退屈しちゃったし。フランス映画お決まりの眠気にも襲われたし。
でも、ラスト5分にやられました。泣けた。涙が止まらなかった。
死ぬと決めた男ナセル・アリの最期の8日間を追う映画です。1日目はどんな死に方にしようか、でも痛かったり苦しかったりするのはやだなー、みたいな軽い感じ。とりあえず彼はベッドに横たわり、食事を一切摂らないことにする。
途中彼の葬儀のシーンなんかも入っていて、この男は本当に死ぬんだってことは序盤で判明します。夢物語ではなく、本当に死に逝く男のお話。
師匠から譲り受けた大切なバイオリンを妻にぶっ壊されてしまい、新しいバイオリンを求めに楽器店へ。試し弾きして納得して購入、それを持って家へ帰ろうとするところで、ばったりと会ってしまったかつての恋人、イラーヌ。
「イラーヌ?」
「はい、なにか?」
「僕のことを覚えていませんか?」
「・・・・いいえ、まったくわからないわ」
この会話がですね、後半猛烈に効いてくるのです。今思い出しても泣けそう。
で、家に帰って買ったバイオリンを弾いてみたら、全然いい音が出ない。憤慨して楽器店に返しに行く。あれ、試し弾きでは納得してたはずなのに。
その後めちゃくちゃ胡散臭いストラディバリウスを買ってみたりするものの、やっぱりいい音が出ない。本当は「出ない」んじゃなくて、「出せない」んだけどね。
叶わなかった恋の方が美しいのか、それを胸に秘めて生きていくことで現実から目を背け続けるのか。絶対恋は叶った方が幸せだし、それはわかってるんだけど、諦めざるを得ない事情だってある。それが自分たちの事情じゃなくて、いろんなしがらみとか身分の差からくるものだったら、なおさら諦めつかないし。
書きたいことはいっぱいあるんだけど、これはぜひ映画館で観てほしいなぁ。
でもわたしが行った時3人しか観客いなかったから、早々に終わっちゃうんだろうなぁ。
ということで☆5つ。
誰か観た人と気持ちを共有したい。でもきっと見つからないだろう(笑)。
コメント
1 ■無題
観ましたともー。うぅ、やめてそのセリフー。もうね、号泣でしたよぉ。
過去に、ある映画を観て流した涙と同じ感じだったな。はなさんはたぶん●才くらいの頃の映画(笑)。
今度ぜひ語り合いましょう!
2 ■◎Mioさん
いーたー!
こんな身近にいたー!!!
もうね、感動しすぎて母にも観に行かせたんですよ。
そしたら「あの男はどうして自殺しようとするの?」とか
わけわかんないこと言ってんすよ!
どこ観とんじゃくらァ!って怒ってやりましたよ。
えぇえぇ、語りましょうとも。
Let's チキンとプラムの会。
その過去の映画も気になる。
http://ameblo.jp/flower51/