なんとなく観てみようかな、くらいの気持ちで「しあわせの雨傘」を観てきました。

『しあわせの雨傘』

あらすじ

スザンヌ（カトリーヌ・ドヌーヴ）は毎朝のジョギングが日課の幸せなブルジョワ妻だったが、ある日、雨傘工場を運営する夫ロバート（ファブリス・ルキーニ）が心臓発作で倒れ、雨傘工場を切り盛りすることに。
亭主関白の夫の下で押し黙る日々を送っていた彼女だったが、子ども、昔の恋人、工場の従業員たちの協力を得て予想外の本能が目覚めていく。

以下、ネタバレあり。

カトリーヌ・ドヌーヴが赤ジャージって、その時点でありえないでしょ。
しかも似合いすぎ。かわいすぎる。なんなのこの方。御年68歳。頭下がります。

ジャージにエプロン、流行るかも（爆笑）
物語の時代は1977年。まだまだ男尊女卑っぽい空気が残るフランスの片田舎。
スザンヌは亭主の浮気も見逃し、家では家政婦に家事の一切を任せ、自分に居場所がないと感じてる。
それでも「そういうものなのだ」とどこか割り切ること、そしてジョギングに出かけ、詩を綴ることによって自分自身を存在させようとしている。

話の舞台は30年以上前だけれど、これって今でも十分に通用するテーマなのではないかと思う。
女性の自立だなんだって言われてるけど、まだまだこういう人も多いのでは。
ま、ブルジョワジーな世界だけのお話かもしれませんけど。

とにかく亭主関白で腹の立つ夫だけど、病気で倒れてしまっては仕方ない。
しかし「実は隠し子がいて、その娘が自分の息子と交際しているのが許せない」とか言いやがる。
男ってなんなの！浮気が甲斐性だと思ったら大間違いだぜ！！！

と思ったら、ちゃっかりスザンヌもやることやっていた、っていう（笑）。
フランスが自由すぎるのか、この2人がおかしいのか。

ストライキが起こってしまった雨傘工場をなんとか立て直すため、経営ド素人のスザンヌが立ち上がる。
市長のババンになんとか沈静化してもらうようお願いし、彼の協力の下、再生を試みる。

全然かっこよくないんだよ、ババン
スザンヌは従業員たちを「お友達」と呼び、素人ならではの感性で事を丸く治めていく。
そして自分の娘と息子を工場で働かせ、それなりのポジションを与える。

ロバートは秘書であるナデージュと不倫中。
スザンヌはかつて一度だけ、現市長のババンと関係を持ったことがある。
娘は忙しすぎる旦那と離婚したがっている。
息子は自分の父親の隠し子である女の子と交際している。
しかもこの息子、スザンヌとババンの子じゃないかっていう疑惑アリ。
この1枚の写真に、こんなにも問題が凝縮w。

スザンヌの会社建て直しは成功し、順調に行き始めたと思ったところに、夫が療養から帰ってくる。
その社長の椅子は元々自分のものだ、もう病気は治ったんだから自分に返せ、と。
でも一度トップに立って味を占めちゃったスザンヌは、そう簡単にその椅子を譲りたくはない。
ここから夫婦の別の意味での対立が始まる。

味方だと思っていた娘に裏切られ、結局スザンヌは社長を失職。

そしてなぜだか議員に立候補。当選しちゃうっていう。
もう雨傘関係なくなっちゃってるし（笑）。
それもそのはず、原題の「potiche」は、フランス語で「壷」という意味。
飾り壷だったスザンヌが、壷は壷だけど中身のいっぱい詰まった壷に変身していくお話なの。
「しあわせの雨傘」は、きっと「シェルブールの雨傘」に引っ掛けちゃったんだろうねぇ・・・。

フツーにお気楽主婦していた女性が、最後は政治家に転身。
ざっくりまとめますと、ウーマン・リブのお話？

話の筋とは全然関係ないですが、カトリーヌ・ドヌーヴの脚のきれいさに惚れ惚れしてしまいました。

いったい何をどうやったら、68歳であんなきれいな脚を保てるのでしょう。
細いしまっすぐだし、シャキッとしてる。憧れます

ドヌーヴをスクリーンで観たのは、同じくフランソワ・オゾン監督の「8人の女」以来。
あれももう8年位前の映画だけど、あの頃と全然変わってない。
いつまでもかわいらしい女優さん。八千草薫みたいな。

で、今さらですが、わたしフランス映画ニガテなのですよ。
何言ってるか全然わかんないし、あの言語の響きがものすごく眠りを誘う。
今まで観たフランス映画で寝なかったのは、「パフューム　ある人殺しの物語」と「サガン　‐悲しみよこんにちは‐」くらい。
でもこの映画も最後まで眠ることなく（笑）観ることができました。

ってことで、☆4つ。
ファッションがものすごく時代を感じられて、いいです。髪形とかもね。