絶対観たいと思っていた「プレシャス」の試写に行ってきました。
自腹でも行くつもりだったので、CNNiに感謝。
『プレシャス』
あらすじ
実父と義理の父によって妊娠を2度させられ、母親(モニーク)からは精神的にも肉体的にも虐待を受ける16歳の少女プレシャス(ガボレイ・シディベ)。
悲惨な家庭環境に生きる彼女は、学校の先生や友達、ソーシャルワーカー(マライア・キャリー)らの助けを借り、最悪の状況から抜け出そうとするが・・・。
とにかく、プレシャス役のガボちゃんことガボレイ・シディベの存在感がすごい。
まったくの素人だったにもかかわらず、この映画の主役に抜擢され、さらにアカデミー賞ノミネート。
授賞式では「あなたはシンデレラ」とまで言わしめた彼女。とにかくすごい。
実年齢は26歳だけど、16歳のプレシャスになりきっています。
1987年のニューヨーク、ハーレム。16歳のプレシャスは、極度の肥満体型のうえ読み書きも出来ず孤独に堪え忍ぶ日々。
“貴い”という名前とは裏腹の過酷な毎日だった。
この年齢にして2度目の妊娠。どちらも彼女の父親によるレイプが原因。
失業中の母親は、そんなプレシャスを容赦なく虐待し続ける。
母親役のモニークは、アカデミー賞助演女優賞を受賞しました。
とにかくこの母親が、ひどい。プレシャスに虐待しまくる。フライパンで殴りかかったりする。
でも、その怒りもわからないでもない。だって、自分の旦那を「寝取った」憎き存在なのだから。
実の娘であると同時に、旦那の不倫相手(?)。どうしようもない怒りが、虐待という形になって現れる。
しかも子供は二人目だって言うんだから、なおさら辛い。
サイトによっては、最初の子供の父親はプレシャスの実の父親、二人目の子供の父親は義父ってなってるけど、
私には両方とも実の父親としか見えなかった。だって、義父なんてどこにも出てこなかったんだもん。
ちなみに一人目の女の子は、ダウン症。いろいろ原因はあるんだろうけど。
さらに名前が「モンゴ」。モンゴロイドから取ってるなんて、悲惨すぎる。
モンゴはプレシャスの祖母が育て、家に福祉課の人間が査察に来るときだけ連れられてくる。
要は、偽装家族を装って、生活保護をがっしり受け取ろうという、母親の策略。
プレシャスは本当は自分の手でモンゴを育てたいと思っている。
妊娠が理由で学校を停学になった彼女は、校長の勧めでフリースクールに通うことに。
彼女はそこで若い女性教師レインと運命的な出会いを果たす。
レイン役のポーラ・パットンの美しいことったら。
フリースクールに通ってくる、いろんな事情を抱えた子供たちに、まるで天使のように接する彼女。
その甲斐あって、プレシャスも徐々に心を開き、読み書きも覚えていく。
あと、マライヤ・キャリーがソーシャルワーカーの役でほぼノーメイク出演。
歌っている時とはまるで別人の、ひっくーい声で演じてます。なかなかうまかったんじゃないかと。
やがてやってくる、プレシャスの二人目の子供の出産。幸いこの子は健常児だった。
なんとかして子供を守ろうとするプレシャスが健気。
でも母親は言う。プレシャスが憎い、と。どうしても許せないと。
レイプされているときに、叫び声を上げなかったプレシャスが悪いのだと。
そんなのってない。プレシャスは声を上げたくても上げられなかったんだ。
その後プレシャスには、とても辛く過酷な現実が待ち受ける。
どうして彼女ばかりがこんな目に遭わないといけないのだろう。
やっと生きる希望を見出したところなのに。
かなり期待して観に行っただけに、なんかちょっと肩透かしをくらったような気持ちになったのは確か。
なんていうか、え、そんなラストなの?みたいな。
もっとその後のプレシャスについても描いて欲しかったなぁ、というか。
たぶん、日本の子供で読み書きができない子って、限りなくゼロに近いんだと思う。
プレシャスはちゃんと学校に行っているにも関わらず、読み書きができない。
これってやっぱり、家庭環境のせいなのかなぁ?
最近日本でも、耳を疑いたくなるような児童虐待のニュースが増えている。
自分がおなかを痛めて生んだ子供のはずなのに、どうしてそんなことができるんだろう。
いろんなことについて考えさせられる映画だったことは、確かです。
ってことで、☆3.5。
ガボちゃんの今後の出演作も楽しみです。