『ヴィンセントが教えてくれたこと』
あらすじ
アルコールとギャンブルが大好きで、ちょっとクセのあるヴィンセント(ビル・マーレイ)は、隣家に引っ越してきたシングルマザーの12歳の息子、オリバー(ジェイデン・リーベラー)の世話をすることになる。酒場や競馬場へと連れ回し、ろくでもないことを教え込むヴィンセントに反発するオリバーだったが、嫌われオヤジに隠された真の優しさや心の傷に気付いてから、徐々に二人は心を通わせていき……。
「いい映画観たなー!」って、素直に思える映画でした。
かなり偏屈な頑固オヤジのヴィンセント。家はボロボロだし、お金も無くて取り立て屋に追われている。それでもギャンブルはやめられない。
そんなヴィンセントの隣に引っ越してきたのが、ちょっとひ弱な少年オリバー。母親のマギー(メリッサ・マッカーシー)と2人暮らしで、どうやら父親とは別居中らしい。
オリバーは転校して早々にイジメの標的になり、初日にして制服から財布から鍵からなにまで盗まれてしまう。家に帰っても鍵がないので困っていた時、ヴィンセントの家にお邪魔する事になる。
女手一つでオリバーを育てていくため、マギーは放射線技師として働いている。突発的な残業も多く、そんな時にはヴィンセントにオリバーを預かってもらうようになっていた(時給12ドルくらいで)。ヴィンセントは子供なんて嫌いなんだけど、あまりに弱いオリバーを見てケンカの極意なんかを伝授したり、夜中にバーに連れていったり。子供には刺激が強すぎる。
さらにはオリバーを競馬に連れて行き、適当に買わせた馬券が大当たり。それを自分のものにはせず、銀行に行ってオリバーの口座を開いてそこに入金する。
まあこのお金が後々問題になるんだけどね・・・。
ヴィンセントがどうして近所の人に心を開かないのか、なぜそんなにお金がないのか、徐々にわかってくると、本当はものすごくいい人なんじゃないかって思えてくる。周りには決して自分の過去を語らないんだけど、ある学校の課題がきっかけでオリバーはそれを探っていくことになる。
この映画、原題は”St. VINCENT”、つまり「聖人ヴィンセント」。飲んだくれオヤジのどこが聖人なんだよって感じだけど、オリバーの課題がその意味を教えてくれる。そこはもうわたくし号泣でした。
ナオミ・ワッツが出ているって聞いていたので、いったいどこに出てくるんだろうって思いながら観てたら実は最初のシーンから出てた(笑)。ヴィンセントと付き合ってるロシア人の娼婦の役で、今までとイメージが違うからまったく気が付かなかったのです。
ナオミ演じるダカがまたいい奴でねえ・・・。妊娠してるんだけどポールダンサーとしてクラブで踊ってたり(果たして子供の父親はヴィンセントなのかどうか)、ものすごくパワフル。そして人情味あふれた人。
きっと自分の近くにヴィンセントみたいな人がいたらめんどくさくてしょうがないはず。でも実際に付き合ってみるとけっこういいところがあったりするのかもしれない。
オヤジとガキんちょの、ちょっと変わった友情物語でした。オススメ。
ということで、/5
エンドロールもまたいいんですよこれが。