アリスのままで

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あらすじ

50歳の言語学者アリス(ジュリアン・ムーア)は、大学での講義中に言葉が思い出せなくなったり、ジョギング中に家に戻るルートがわからなくなるなどの異変に戸惑う。やがて若年性アルツハイマー病と診断された彼女は、家族からサポートを受けるも徐々に記憶が薄れていく。ある日、アリスはパソコンに保存されていたビデオメッセージを発見し…。

アリスのままで

アリスはコロンビア大学の教授を務める才女で、家庭もそれなりに円満で幸せな生活を送っている。でも、言葉に詰まったりよく知った道をジョギングしていて帰り道がわからなくなったりすることが多くなり、検査を受けるために病院へ。そこでまさかの若年性アルツハイマー病の診断。まだ50歳。これからまだまだ花開ける年齢なのに。劇中の医者が言っていましたが、この病気は頭のいい人ほど進行が速いのだそうです。

夫(アレック・ボールドウィン)は妻の病気を受け入れますが、今まで当たり前にできていたことができなくなっていく彼女を見て、若干イライラもします。それは仕方がないことだと思う。

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アリスたち夫婦には3人の子供がいるんだけど、悲惨なことにアリスの病気は遺伝性で、3人の子供ももしかしたら将来発症するかもしれない。自分自身だけでなく、子供たちにまで同じ運命を背負わせてしまうことを告白するシーンに涙が止まりませんでした。

それでもアリスは病気と正面から向き合い、同じ病気で苦しむ人たちのことを理解してほしいとスピーチをします。このシーンがまた泣けて泣けて。原稿を見ながら話すんだけど、同じ文章を繰り返して読まないようにマーカーを引きながら読み進めるの。大学教授だった人がだよ。スピーチの内容も本当に切なかった。

末っ子のリディア(クリステン・スチュワート)はちょっと風変わりな子で、親の反対を押し切って大学へ行かずに演劇の道へ進もうとしている。親元から離れ、他の兄弟ともあんまりうまくいってない感じ。

アリスのままで
そんな彼女が最後に下した決断、わたしは偉いと思った。

アリスが「癌の方がよかった」っていうセリフがあるんだけど、癌を患ったことがある母(一緒に観に行った)が、「癌の方がいいと私も思う」と言っていました。癌は切れば治る可能性があるけど、アルツハイマー病は今のところ完治させるような技術や薬はない。自分自身が分からなくなるって、体を切られる痛みより辛いんだと改めて思いました。

今年度のアカデミー賞で、ジュリアン・ムーアが主演女優賞を獲った今作。実はこの映画の企画が持ち上がった頃、監督のリチャード・グラツァーは筋萎縮性側索硬化症(ALS)を悪化させていました。それでも代役を立てずにパートナーと共にこの作品を仕上げます。そしてジュリアンがオスカーを手にしたのを見届けるかのように、アカデミー賞の3週間後に息を引き取りました。

自身も病に侵されながら映画を撮り続けた監督。病気の種類は違えど、現代の医学では完治させることができないという点でアルツハイマーとALSは同じです。過酷な状態でもメガホンを取り続けた監督と、見事それに答えて見せたジュリアン・ムーア。

映画の内容は賛否両論だし(特に字幕が)、わたしもちょっときれいすぎるかなとは思ったけど、いつか自分の身に起こらないとも限らない話です。身につまされました。

ということで、★★★★/5
確かに字幕は端折り過ぎだったな。どうやらフランス語が専門の方が翻訳したようです。

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