『ジーザス・クライスト=スーパースター アリーナ・ツアー2012』
あらすじ
愛と平和の大切さを説いて回り、神の子と称され民衆の支持を集めているイエス・キリスト(ベン・フォースター)。そんなイエス・キリストに対し、神の子として賞賛されていることに疑問を抱く弟子のイスカリオテのユダ(ティム・ミンチン)。イエス・キリストは、周囲の人間になかなか理解してもらえないことに疲れ果て、自分を支えてくれるマリー・マグダレン(メラニー・C)に安らぎを感じるように。そんな中、ユダの裏切りによって、彼は兵士たちにとらわれてしまう。
1週間限定公開だった「ジーザス・クライスト=スーパースター アリーナ・ツアー2012」。どうやら追加上映も決まったようで。ミュージカルの記念公演を撮影したものを、そのまま映画館で流すタイプのアレです。そう、伝説の「オペラ座の怪人25周年記念公演 in ロンドン」のような。
以下、ネタバレあり。
世間では大絶賛されているこの映画(っていうかミュージカルそのものが?)ですが、率直な意見といたしまして、わたしはニガテでございました。
歌は素晴らしいです。特にイエス役のベン・フォースターのありえないハイトーンボイスとか、鳥肌立ちます。ましてや極上音響上映なので、その声の一つ一つが劇場内に響き渡って、あれはしびれるね。
なにがニガテかと言いますと、そもそも話の内容が好きじゃないです。なんとなく、嫌なんです、磔にされるイエスの話が。わたしの好きな「ベン・ハー」っていう映画にもイエス・キリストが出てきて、同じように十字架を背負ってゴルゴダの丘を目指し、その死の瞬間にものっすごい雷鳴が轟いて奇跡が起こる、っていうシーンがあるんですけど、それは別に平気なの。
じゃどうしてこの映画、もうミュージカルっていいますけど、これがダメかって。なぜなら、舞台が現代だからです。2000年前の話なのに、スマホだのインタビューだのなんだのって、意味がわからないね。
マグダラのマリアは元スパイスガールズのメラニーC(通称Mel.C)がやってるんだけど、わたしスパイスの中でこの人が一番嫌いだった。スパイスがデビューした年、わたしはイギリスで暮らしていたのです。来る日も来る日もラジオを付ければスパイスの「Wannabe」が流れ、テレビではPVがガンガン放送される。その中で最も目立つ要素がなく、地味だったのがMel.Cです。去年のロンドンオリンピックで再結成されてたけど、Mel.Cなんてとっくに過去の人かと思ってたよ。未だにイギリスじゃ人気あるのかな?あと、右腕に「女力」っていうタトゥーが入ってて、「うわ、だっさい」と思ってしまった。外国人から見る漢字のタトゥーと、漢字がわかる人種が見るそれとはだいぶ受け取り方が違うからね。
どうでもいいが、芝居に熱が入りすぎてるんだかなんだか、ヨダレをダラダラ垂らしながら歌ってる人がいて。ドン引きしました。だって、それがアップになってスクリーンに映ってるんだもん。舞台なら遠目で見えないかもしれないけど。
それから、この芝居は舞台転換がないんです。ステージ中央に大階段があって、登場人物たちはそこを舞台にして話を展開して行く。わたしが好きなミュージカルって、「オペラ座の怪人」とか「レ・ミゼラブル」とか「マリー・アントワネット」とか、セットも大掛かりで内容がドラマティックで、だいたい3時間くらいあるやつ。これ、1時間半だし。
そもそも最初に映画館で観た予告編が意味わからなくて、「なんなのこれ」って思っちゃったのがよくなかったんだろうな。だけど観た人たちはこぞって好評価だったし、極上音響だったら観に行ってもいいかな、と思って行っちゃった。
また観に行くことは、ないです。ほんと、音は素晴らしかったんだけどね。
そうだ、カーテンコールにアンドリュー・ロイド=ウェバー(このミュージカル作った人)が出てきて、「この作品を作っている時にそばにいてくれた、サラに感謝します」とか言ってるけど、それってサラ・ブライトマンのことじゃないからね。その前の奥さん。
ということで、☆3つ。
ファンの人が見たら怒られそうなレビューでごめんなさい。でも人には好き嫌いってものがあるの。