MJ Forever ~THIS IS IT 音響調整現場にて~

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去る6月12日、夜通し行われた「THIS IS IT」サードランに向けての音響調整に
参加してきました。場所は立川CINEMA CITY(正確にはCINEMA・TWO)。

CINEMA 2

通いなれているはずの道のりが、これから始まるであろう未知の世界へと繋がっているようで、なぜか緊張してしまう。

このレビューは長くなりますし、完全に趣味の世界へのめり込むので、興味のない方にはすんません。と先に謝っとく。

今回のイベントは、シネマシティ好き、マイケル好き、THIS IS IT好きなどの有志が集まって、今まで以上のサウンドクオリティを目指すべく頑張る音響さんたちを見守ろう、いや、もし何なら意見も言っちゃおう、みたいな趣旨で行われました(よね?たぶん)。

23時、ロビー集合。まずはブリーフィング。

CINEMA 2

募集時点では十数名の予定だったのに、蓋をあけてみたら結構な人数が集まっていた。
グループで来てる人が多くて、わたし、一人ぽつねん・・・・。ちょっと寂しかった。
基本的に映画は一人で観る派だけど、前回のTHIS IS ITスタンディング上映の時には「誰かと一緒にこの感動を分かち合いたい!!!」と心の底から思いました。
今回もしかり。

立川にはCINEMA CITY、CINEMA・TWOと二つの映画館がありまして、シネマシティの1階に入っているレストラン「MOTHERS ORIENTAL」さんからフードの差し入れが。

MOTHERS ORIENTAL

手をつけられませんでした・・・すみません。

とりあえず、CINEMA・TWOについての説明をしておかないと、と思います。
もともと立川の地には東京初めてのTHXシアター、オリジナル音響システムなど映画館における究極の音にこだわり続けてきたシネマシティがあり、そのシネマシティが2004年にオープンさせたのが新館となるCINEMA・TWO。
映画を観るための最上の環境を目指して作りあげた独自のサウンドシステム「kicリアルサウンド」は、他館とは一線を画する豊かな表現力と迫力で、今までにない映画体験を約束してくれます。

CINEMA・TWO

★「kicリアルサウンド」システムについて★

CINEMA・TWO(5スクリーン全て)の為に開発した独自の音響システム。
映画を観るために設計された建物だからこそ可能となった建築音響(音の伝え方)と、
世界中の様々なアーティストに支持されている音響機器《メイヤー》のスピーカーを用いた
電気音響(音の出し方)との融合により独自の映画サウンドシステムが完成。
映画監督が観客に聞かせたいと考える音を再現し、セリフの一つ一つが、自然な響きで、きっちりと耳に届く、
そして音楽の場面では音のシャワーに包まれるような高い表現力をもつ、今までにない音設計です。
kic

そんな「kicリアルサウンド」システムを開発したのが、サウンド・スペース・コンポーザーの井出祐昭さん。

井出さん
井出さん

表参道ヒルズの音楽プロデュースや、JR新宿・渋谷駅の発車ベルシステムも開発されているすごい人。

そしてもう一人の開発者が音響家の増旭(ますあきら)さん。

増さん
右側が増さん

杉良太郎、五木ひろし、ユーミン、ドリカムなどなど、すごいミュージシャンたちと共にお仕事をされている人。

このお二人が「マイケルが聴かせたかったであろう音」に近づけるべく、サウンド調整する現場に立ち合ったというわけです。

CINEMA CITYができた時、「この映画館の音響って、日本一らしいよ」と友人に聞き、うっそだぁ、と思った。
だって、なんで立川にそんなすごい映画館があるのか理解できなかったし(大変失礼)。
でも今は、この二つの映画館があることをものすごく誇りに思ってる。
私、映画はここか試写会でしか観ませんもの。
もちろん「THIS IS IT」だって、CINEMA・TWOのStudio Aでしか観たことがないからいくらそれが素晴らしい音だと言われても他と比べようがないのでわからなかったりするんだよね。

たぶんこの日集まったほとんどの人がそうだったんじゃないかと思う。
なので、まずは音の聴き比べからスタート。
1曲目の「Wanna be startin’ something」を、ノーマルバージョン、セカンドラン(INVINCIBLE SOUND)バージョン、スタンディングバージョンの3パターンで聴いてみる。
スタンディングは、INVINCIBLEのボリュームを更に上げたもの。
ちなみに「INVINCIBLE」とは「無敵の」という意味で、マイケル・ジャクソン最後のアルバムタイトル名です。

ノーマル、つまり何も手を加えていない、ほかの劇場で公開されている音で聴いた時、正直「うわっ、CINEMA・TWOを知らないなんてかわいそう」と思ってしまった。
なんだか音が明瞭じゃないし、イントロのオルテガの声もくぐもって聞こえたような気がして。
INVINCIBLEとスタンディングは体験済みだったけど、あれ?スタンディングってもっと音大きくなかったっけ?
これは井出さんも同じように思ったらしく、「スタンディングはもうちょっと音を上げましょう」と。
これが最後にはすごいことになっちゃったんだけど(笑)。

通常映画館ではスピーカーはスクリーンの裏に隠れているものだけど、ここではL(左)とR(右)は外に出てる。
さすがにセリフなどを出すC(センター)は裏にある。
ウーハーも外に置かれてるけど、これは普通なんだっけ?
ちょっと忘れてしまいました。
あとはサラウンドスピーカーが場内をぐるりと囲み、臨場感が出るようになってます。
普段は上映前にSTOMPが出てきてドルビーの宣伝をするんだけど、その時にサラウンドのすごさがわかる。

少し休憩をはさんだ後、1回目の上映。
音響を調整しながらなので、途中で音が小さくなったり大きくなったり。
いろんな場所で聴き比べるために、2回は席を移動してみてくださいって言われたけど、なぜか私の座席のまわりには井出さんを始めスタッフさんがいっぱい座っていたのでテコでも動かず(笑)。
トランシーバーで「じゃあLCRだけでいってみましょう」とか、「今から全部出しまーす」とかやり取りするのが聞こえたりして、面白かったんだもーん。

「I Just Can’t Stop Loving You」まで行った所で一度休憩、その後「Thriller」から再開。
そこで「あれっ、なんか変?」と思ったのです。
実はこの時、音がセンタースピーカーからしか出ていなかった。
LRも(たぶん)ウーハーも、サラウンドもない、ただひたすらマイケルの声だけが際立つThriller。これはこれでとても新鮮でした。

kic
なにやら打ち合わせ中

「THIS IS IT」は映画ではなく、あくまでMJ個人の記録用として撮影されているため荒い部分もある。
でもミュージシャンたちの音は完璧だし、あえて音源を足すようなことはしていないだろうと井出さんはおっしゃってた。
しいて言うならば、もっと映像がきれいだったらよかったんだよね(爆)。

いつも不思議に思うのが、ただの記録用であそこまで撮影するかな?ってこと。
いちいちスタッフたちのインタビューまで撮ってたりするし。
もしそのインタビューがMJの死後に改めて撮られてたとしたら、それってものすごく辛いことだろうし(それはないか)。

「They Don’t Care About Us」のクロマキー撮影日は、カメラから察するに2009年6月4日。
これからたった20日後に、彼は最期の日を迎えることになる。

そしていよいよ最後のランスルー。スタンディングバージョンでいくことに。
この時点ですでに深夜3時過ぎ。

冒頭のインタビューシーンから、音がでかい。かなりでかい。
これ、本編始まったらどーなっちゃうの?っていう不安がよぎるくらい、でかい。

文章で伝わるかなー。
インタビュー後、花火、フレイムチェイス、ミラーマンが登場して開いて開いて開いて・・・・
MJが出てキューを出して、ドンッ!っていうここまでの緊張感ったらもう。

どうでもいいですが、インタビューで3番目に出てくる人が好きです。2番目はニガテです。

そうして今まで聴いたこともないような音量でスタートした、「”新生”THIS IS IT」。
いやもう、ハンパないっす。
井出さんが「『THIS IS IT』は耳ではなくて、(胸を指して)ここで聴くものなんです」と言うとおり、サウンドは耳ではなく体に直接響いてくる。
耳なんてもう、役に立ってない。
あまりの音に、耳をふさいでる人すらいた。
オリアンティ姉さんのセッションあたり、特にすごい。
あのヴォリュームなら、東京ドームでもいけるんじゃないかと本気で思ったくらい。
ま、あそこは音の跳ねっ返りがすごいから、このまま流したらとんでもないことになると思うけど。

kicはジェットエンジンよりも大きな音すら出すことができるらしい。
そういえばブブゼラは飛行機の騒音よりもうるさいって、なにかで言ってたな。
W杯会場、さぞかしすごいことになっちゃってるんでしょう。きっと。

スタンディングバージョンなので、観客もノリノリ。スタンディングで観る人もいる。
ほかに座席がいっぱい空いてるにも関わらず、わざわざ私の目の前にやってきて
踊りだした方々、ナゼですか・・・。
わたし、座りっぱなしだから全然観えないんですけど・・・。

だって、時既に明け方。体力の限界も近づいてくるというもの。
事実、「The Way You Make Me Feel」あたりで1回落ちて、「Thriller」で覚醒しました(笑)。
あの爆音でウトウトできる自分、すごい。
それだけ心地いいサウンドだったってことなのかしら?
覚醒してからはもう、ナチュラルハイでフルスロットルだったけどねDASH!

どんなにヴォリュームを上げても、ほかのStudioには一切音が漏れない構造になっているとはいえ、ここまで上げたらちょっとくらい漏れちゃってるでしょ、と思って、「Earth Song」の時に外に出てみました(トイレに行きたかっただけとも言う)。
それが、2重扉を出てロビーに立ったら、怖いくらい「シン」と静まりかえっていた。
全然漏れてない。
中ではえらいことになっているのに、同じ建物であるはずのロビーは完全に別世界。
そうか、この扉の中はやっぱりMJワールドなんだ、と、すでに明るくなっていた外を
見ながらしみじみ思ったよ。
そして扉を開け閉めしてくれたスタッフさん、あなたはもしや上映中ずっとそこで
待機なのですか?お疲れ様でした・・・あせる

なんで「Earth Song」でトイレに行ったかって、そりゃ「Billie Jean」を見逃すわけにはいかないからです。
ちゃんとしたムーンウォークこそないものの、そこにはMJのすべてが詰まってるように私には見える。
スーパースター、KING OF POPと呼ばれた男の苦悩や葛藤みたいなものが、歌詞とオーバーラップする。

私、この映画を観た後、いつも必ず言い知れぬ焦燥感に襲われるのです。
わけのわからないモヤモヤが、心の中にずっとある。
栄華を極め、これからさらに高みを目指そうとしていた矢先の突然の死。
どうしてこんなことになっちゃったのか。いったい彼が作り上げていたものはなんだったのか。
きっと死んだ本人は、いまだに死んだことに気が付いていないんだと思う。
「ボクのツアーはいつ始まるの?」って、不思議に思ってんじゃないかとさえ思う。
なんて言えばいいんだろう、「人間いつ死ぬかわからない」とかよく言うけど、だからやりたいことやっておけ、じゃなくて、その時が来るまでに何をやり遂げられたかが大事なんじゃないかって、思うんだ。
そして鑑賞後は常に、マイケルロス・シンドロームに陥る。がっくりと。

全て終わったときには、朝5時を回っていました。
井出さんが最後の挨拶で、「マイケルが聴かせたかった音に近づいたでしょうか」って聞かれてたけど、うん、きっとMJも喜んでる。
O2アリーナで見せたかったものに引けをとらないものが出来上がったと思う。
そしてこんなすごいものを生み出す瞬間、その場にいられたことを、私はとてもうれしく思った。

IMG_6705
kic、ありがとうここにいてくれて。

CINEMA・TWOでは、またまたスタンディング・歓声・口笛OKのライヴスタイル上映を
やっちゃいます。
開催日は①6月19日(土) 20:00~②6月25日(金) 20:00~③6月26日(土) 20:00~の3回。
ウェブでの受付もありますが、会員登録しないといけないのでめんどくさい人は
042-525-1251にお問い合わせを。
そっちのがめんどくさいわ!っていう方は、こちらのサイトから。
私は全回参加する予定です。同行者探してみたけど、みんな音の大きさに
恐れおののいて来てくれない(涙)。

なお、19日(土)には自由に書き込めるメッセージシーツが用意されるそうです。
「このシーツは、ファンのご厚意により命日に墓前に供えていただきます。」って
言ってるけど、確か命日ってお墓に入れないんじゃなかったっけ・・・?

そして命日である25日、26日にはスクリーン前に献花台が用意されます。
私もお花持って行こうかな。

わざわざ飛行機に乗ってまで、「THIS IS IT」をCINEMA・TWOに観に来る人も
いるのだとか。
さぁ、行きますよ、THIS IS IT サードラン “THE EXPERIENCE”

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