トランボ　ハリウッドに最も嫌われた男

『トランボ　ハリウッドに最も嫌われた男』

あらすじ

第二次世界大戦が終結し、米ソ冷戦体制が始まるとともに、アメリカでは赤狩りが猛威をふるう。共産主義的思想は徹底的に排除され、その糾弾の矛先はハリウッドにも向けられる。売れっ子脚本家だったダルトン・トランボ（ブライアン・クランストン）は、公聴会での証言を拒んだために議会侮辱罪で収監され、最愛の家族とも離ればなれとなってしまう。1年後、ようやく出所したトランボだったが、ハリウッドのブラックリストに載った彼に仕事の依頼が来ることはなかった。そんな中、家族を養っていくためにＢ級映画専門のキングス・ブラザース社から格安の仕事を請け負い、偽名で脚本を書きまくるトランボだったが…。

久しぶりに「面白い映画を観た！」と心から思った作品。

ダルトン・トランボは実在の脚本家で、いわゆる「赤狩り」に遭ってハリウッドから迫害されちゃった人。ものすごい才能を持っていて、迫害中に偽名を使って書き上げた脚本も数知れず。なんとあの『ローマの休日』もトランボが偽名で書いて、アカデミー賞の最優秀原案賞（今でいう脚本賞？）まで獲っちゃったっていうんだからもうすごい。もちろん彼の本名はクレジットされていません（イアン・マクレラン・ハンターっていう人が書いたことになっている）。あとわたしが2度と観ないと心に誓っている『パピヨン』もトランボの作品だそう。

自分の信念を貫けば仕事は来なくなるし、家族は路頭に迷う。それがわかっていながらも絶対に自分を偽らなかったとても強い人です。他の仲間たちは自分可愛さにどんどん仲間の名前を暴露したにも関わらず、トランボは絶対に口を割らなかった。だから議会侮辱罪で逮捕されて、2年くらい刑務所に入れられちゃった。

そしてすごく優しい。執筆中でワーってなってる時はちょっと家族に冷たくあたったりもするけど、普段はものすごく物腰の柔らかいパパです。

ガンで余命いくばくもない脚本家仲間にお金をあげたり。自分だって生活が苦しいのに。

そして何かと彼を敵対視してやり玉に挙げるコラムニストのホッパー（ヘレン・ミレン）。怪演でした。

この映画を観てて、なんか同じような話の映画なかったっけ・・・・確か『ヘイル、シーザー！』にも赤狩りが出てきてたなあと思って調べてみたら、なんとそっちにもトランボが出ていたらしい！そうか、あそこで集まっていた10人が後に「ハリウッド10（召還や証言を拒否して議会侮辱罪で有罪判決を受けた主要な10人）」だったのか！とたった今わかりました。それ知ってたらもっと楽しめたのになー。