『ヒミズ』
「ヒミズ」の完成披露試写会に行ってきました。これ、一度外れちゃったんだけど、「1枚余っているのでもったいないからぜひ行って来て下さい」って直々にいただきました。わたし、そんな大したレビュアーじゃないんですが・・・。だったら最初っから当ててよね、って(笑)。
上映前に舞台挨拶もありました。
2011年のヴェネチア国際映画祭で、主演の二人がマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)をW受賞した映画です。8分間、スタンディングオベーションが鳴り止まなかったんだとか。その時のトロフィーをまだ二人に渡していなかったということで、その贈呈式も兼ねていました。
シネマトゥデイから拝借
舞台挨拶では可憐そうな二人が、ねぇほんとに。
あらすじ
どこにでもいる中学3年生の住田祐一(染谷将太)の夢は、成長してごく当たり前のまっとうな大人になること。一方、同い年の茶沢景子(二階堂ふみ)の夢は、自分が愛する人と支え合いながら人生を歩んでいくことだった。しかしある日、2人の人生を狂わせる大事件が起き・・・。
原作は「行け!稲中卓球部」の古谷実。監督は「恋の罪」の園子温。なんなのこの二人のタッグって。稲中読んだことある人はわかると思うけど、まさかあのギャグ漫画描いた人がこんなシリアス(?)なものを描くとは・・・。ギャグ路線、一切封印です。そこにプラスすることの園子温。すごい。すごいって。
主人公の住田は、これでもかっていうくらいろくでもない両親がいて、全然愛情を受けて育ってない。ふらりとやって来ては暴力を振るいまくる父親と、男と遊んでばっかりのふしだらな母親。そんな二人を見て、ただただ「普通の大人になる」ことを夢見てるなんて、切な過ぎる中学3年生。
同級生の茶沢はそんな住田に恋をしている。がしかし、完全にベクトルを間違えている。もうただひたすらに、ウザい。ウザすぎて気持ち悪い。
一瞬、宮崎あおいに見えることもある
住田が好きなのはわかるよ。だけど自分だけの妄想で盛り上がっちゃってて、全然相手の気持ち考えてない。ま、中学生なんてそんなもんだったか。
こんな貸しボート屋を
こんな風に勝手に改装。ウザ・・・・。だけど茶沢も茶沢なりに抱えているものがあって、その不満の吐き出し口がない。
そしてある日住田は、とんでもないことをやらかしてしまう。
正直言って、わたしのニガテ分野の邦画です。暴力ばっかりだし。でも世界に認められたと言われれば、観てみたくなる。
住田の周りにはホームレスのオトナたちがいて、みんなが「住田さん、住田さん」と年下の住田を慕っている。慕っているっていうか、そうやって気に掛けてあげてるんだよね、変なほうに行かないように。
みんながみんな、救いようがない。観ていて辛かった。
タイトルの「ヒミズ」とは、モグラの一種です。日不見、日見ずとも書く。つまり日が照るところで暮らせないってこと。それを知らないと、この映画観てても「?」ってなるかも。わたしは事前に調べて「なるほどそういうことか」と思ったので。
あと、3.11後、脚本を変更したそうです。冒頭に震災後の荒れ果てた風景が挿入されてる。でも、それってあってもなくても全然変わらなかったと思う。むしろあえて突っ込まなくてもよかったと思うのですが。
ということで、☆2.5。
こういうのは賛否両論分かれるんだろうなぁ。たぶんわたしは何年経っても、良さがわからないと思う。