ある愛へと続く旅

スポンサーリンク

ある愛へと続く旅
『ある愛へと続く旅』

あらすじ

サラエボで運命的な出会いを果たし、夫婦となったジェンマ(ペネロペ・クルス)とディエゴ(エミール・ハーシュ)。切望する子どもが望めなかった彼らは代理母候補を探し出し息子ピエトロを授かるが、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争が勃発する。息子を連れて難を逃れたジェンマだが、ディエゴだけが街に残って命を落としてしまう。それから16年後。ローマで暮らしていたジェンマは、サラエボ時代の友人に誘われてピエトロと一緒にボスニアへ向かう。街の風景を眺めながら、ディエゴとの深い愛を思い返す彼女だが・・・。

ある愛へと続く旅
わたしの中では、2013年のベスト3に入る映画です。戦争、不妊、テーマは重いけど、女性には観てほしい。

以下、ネタバレあり。長いです。

まだ冬季オリンピックが開催される前の、平和なサラエボ。そこで出会ったジェンマとディエゴは瞬く間に恋に落ちる。しかしジェンマには婚約者がおり、二人の恋はジェンマがイタリアへ帰国することで終わってしまう。

束の間の結婚生活の後ジェンマは離婚。そこへディエゴがやってきて、二人は共に生活を始めることになる。(なぜかジェンマの父親はディエゴのことが大好き。どうやら男2人で連絡を取り合っていたらしい)

念のため、ジェンマはイタリア人、ディエゴはアメリカ人です。

そして始まるボスニア・ヘルツェゴビナ紛争。この紛争については『ハンティング・パーティ』や『最愛の大地』を観た時にちょっと勉強したので、予備知識はあった。スクリーンに映るヒゲのおっさんを見て、「あ、カラジッチ」とわかるくらいのレベルですが。

結婚したジェンマとディエゴは子供を望むものの、なかなか授からない。原因はジェンマにある。ならば養子を、と手続きを進めるが、ディエゴのかつての素行不良が問題となって養子縁組には不適格とされてしまう。二人の間に流れ始める、不穏な空気。

ジェーン・バーキンが不妊に悩む二人の精神分析医としてサラーッと登場したのにはびっくりした。

ある愛へと続く旅

どんどん激化する紛争を心配し、かつての友人を訪ねてサラエボへ行くことにする二人。
そこで知り合ったアスカという女性。

ある愛へと続く旅

子供が欲しいジェンマ、お金が欲しいアスカ。利害が一致。代理出産を依頼する。当初は人工授精でという話が、紛争のため医者もいなくなってしまい、じゃあ自然に作るしかないね、と。
アスカは「見て行く?」とジェンマを挑発。まさか、そんなこと耐えられるわけがない。アスカと共に建物へ消えていくディエゴ。それを見送るジェンマ。辛い、辛すぎる。

・・・・でも、できなかったんだよね。

その後イタリア(アメリカだったかも・・・)へ戻るジェンマとディエゴ。しかし紛争の惨状を目の当たりにしたディエゴの精神はどんどん病んでいってしまい、またサラエボへ行ってしまう。それを追いかけるジェンマ。そこで目にしたのは、お腹の大きくなったアスカと一緒にいるディエゴだった。

ディエゴはジェンマに「お腹の子は自分の子だ。実はあの後もアスカと会っていた」と言う。そして子供を育てて欲しい、と。愛する人の子供ならと、承諾するジェンマ。産まれた子供を連れてイタリアへ戻る(アスカにお金も払ってた)。もちろんディエゴも一緒に戻るはずが、「パスポート持ってない」とか言って、サラエボに留まってしまう。

国に戻り、一人息子を育てるジェンマ。そこへ届く、ディエゴが海に転落して亡くなったという訃報。「サラエボに海なんてないわよ」ぽつりつぶやくジェンマ。

16年後、ジェンマはサラエボから戻る際に助けてくれた軍人と結婚し、ディエゴの子供・ピエトロを育てていた。サラエボ時代の友人から連絡を受け、ピエトロを連れてボスニアへ向かう。かつての友達との再会、そしてその中にはアスカの姿も。ピエトロを連れ戻すための罠だったのか、と気づくジェンマ。しかし真相はそうではなく、アスカの口から衝撃的な事実を聞くことになる。

実は、ピエトロはディエゴの子供ではなかった。ディエゴは結局アスカには手を出せず、ディエゴがちょっとその場を離れた隙に押し入ってきたテロリストたちによって、アスカはレイプされ連れ去られてしまっていた。しかもその一部始終を目撃してしまったディエゴ。アスカを助けようともせず、平和な国に戻ってしまったことに対する自責の念で、精神を病んでしまう。再びサラエボへ戻った時見つけ出したアスカは妊娠していた。ディエゴはアスカにこう言う。「ジェンマには僕の子供だと言おう。そして平和な国で育ててもらおう」

つまり16年間、愛した人の子供だと思って育ててきたピエトロは、まったく知らない赤の他人の子供だった。っていうかさ、顔見ればわかるでしょ。どう見てもアメリカ人の血が入ってない。

ある愛へと続く旅

この映画、英語のタイトルは「Twice Born」だった。2度産まれる。いったい誰のこと?(原題は「VENUTO AL MONDO」。何語だろ。わかる人いる?)

アスカが真実を語り始めるあたりから、どうにもこうにも涙が止まらなくなって、エンドロールもずっと泣いてた。いろんなこと、どうするの、それでいいの?今まで信じてたことは全部ウソだったの?こんな事実を突き付けられて、この先どうやって子供と向き合っていけばいいの?

ピエトロはディエゴという人が自分の父親というのは知っていて、でも産んだのはジェンマだと思ってる。そのどちらも、間違っていたなんて知らされたら、彼はどうなってしまうんだ
ろう。劇中ではそこまで描くシーンはなかったけど、この物語が続いて行くとしたら必ずどこかで知ってしまうだろう。

この映画に興味を持ったのは、ペネロペ・クルスが20代から50代までを演じていると知ってそれを見てみたかったから。そしてエミール・ハーシュが出ていること。

ある愛へと続く旅

イントゥ・ザ・ワイルド』の頃から、この役者さん好きなんです。なんか友達に似てるし(笑)。

でもまさかこんなに心に余韻を残す内容の映画だとは思わなかった。やられた。
観てから1ヶ月近く経つのに、いまだにわたしの中で何かがくすぶり続けています。

もう一度観たい、でも結末知ってるし、いろんなことに耐えられなさそう。
結構暴力的なシーンも出てくるしね。でもたくさんの女性に観てもらいたい、そんな映画です。

ということで、☆7つ(5点満点で)。
邦題は失敗だな。

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


FXを学ぶ