『エベレスト 3D』
あらすじ
1996年、春。ニュージーランドの登山ガイド会社によって世界最高峰エベレストの登頂ツアーが企画され、医師で登山経験豊富なベック(ジョシュ・ブローリン)や前年の雪辱を期す郵便配達員のダグ(ジョン・ホークス)、著名なジャーナリストのジョン・クラカワー(マイケル・ケリー)、そして紅一点の日本人女性登山家・難波康子(森尚子)ら世界各国から8人のアマチュア登山家が参加した。彼らを率いるのはベテラン・ガイドのロブ・ホール(ジェイソン・クラーク)。一行は標高5000m超のベースキャンプに滞在しながら、1ヵ月かけて身体を高度に順応させていく。その間、ベースキャンプは多くの商業登山隊でごった返し、様々なトラブルが発生していた。そんな中、ロブ・ホールは別の隊を率いるスコット・フィッシャー(ジェイク・ギレンホール)と協調体制を取ることで合意、互いに協力しながら山頂を目指すのだったが…。
1996年5月10日から12日にかけて、実際にエベレストで起きた大量遭難事故を描いた映画です。
こんなに大きな事故、しかも日本人が含まれているのにもかかわらず、わたしはまったくこの出来事を知らなかったんです。当時絶対ニュースにもなっていたはずなのに。よくよく調べてわかりました。この事故の真っ最中である1996年5月11日は、わたしが1年間の留学の為にイギリスに向けて飛び立った日なのです。たぶんイギリスでもニュースになっていただろうけど、自分自身生活になじむのに精いっぱいでテレビなんて観る余裕もなく、もちろん新聞も読んでないから知らずじまいだったんだと思う。で、観る前にネットでいろいろ調べてたらネタバレしてしまったという・・・。
そもそもエベレストに商業登山なんていうものがあることすら知らなかった。もっと入念に準備して訓練もして、選ばれし者だけが登れる山なんだと思ってた。もちろんド素人が登れる山じゃないからみんなそれなりに経験を積んでる人ばかりだけど、なんか少しお気楽というか、命がけっていう覚悟が見られないというか、ちょっとエベレストなめてない?みたいな(いや、これはとても失礼な言い方です。すみません)。
これから地球上で一番高いところに登ろうっていう前夜にお酒飲んでどんちゃん騒ぎしてみたり、絶対14時には下山を開始しろって言われてるのに16時過ぎに登頂してみたり、もっと危機感持った方がいいんじゃないの?と素人のわたしでさえ思ってしまった。
ガイドのロブ・ホールはエベレストの商業登山の第一人者で、ちゃんと体も鍛えていて、周りの人がバタバタと高山病にかかって息も絶え絶えになっているのにこの人だけビクともしない。その有り余る体力が無茶をさせちゃった部分も少なからずあると思う。もし彼一人だけで動いていたら、絶対遭難なんてしなかったはず。毎年毎年頂上目前でギブアップしていて、今年がもう最後の挑戦だと決めていた郵便配達員のダグの願いを叶える為にロブもその場に残ったから、二人して遭難しちゃった。
ロブには身重の妻(キーラ・ナイトレイ)がいて、無線で連絡を取り合うんだけど、ロブはもう自分は助からないとわかってるのね。だから奥さんに生まれてくる子供にどうしてもつけてほしい名前を伝える。その後生まれてきた子供は、エンドロールで登場します。
(まったくの余談ですが、ロブを演じたジェイソン・クラーク、最近やたらと大作に出ている気がします。『猿の惑星:新世紀(ライジング)』『ターミネーター:新起動/ジェニシス』などなど。)
別の隊を率いていたガイドのスコットも、自ら約束を守って大幅に時間を過ぎて登頂したりして亡くなるんだけど、この隊で亡くなったのって、たぶんスコットだけ。隊長自らがそんな感じなんです。酒飲んでたのもこの人。いい奴なんだけどね。
『八甲田山』を観た時もそうだったけど、あまりに寒くて周りが真っ白だと、人間は正常な判断ができなくなるようです。「暑い暑い」といって着ているものを脱ぎだしたり、自ら命綱を外したり。そうやって命を落としていった人もいました。
そうかと思えば、一度は死亡したとして仲間に見捨てられた人が息を吹き返し、自力で下山してきたりとか。
ほんと、何が起こるかわからないですエベレスト。だいたい8,848mなんて、航空機が飛ぶ高さだよ。生身の人間がそう簡単に到達できる場所じゃない。それなのになぜ登るのか。「そこに山があるからだ」の有名なせりふは、ここエベレストで生まれたものです(本当は「そこにエベレストがあるからだ」らしいです)。
そしてびっくりしたのが、この時ジャーナリストとして登頂に成功したジョン・クラカワー、わたしの大好きな『イントゥ・ザ・ワイルド』という映画の原作を書いた人でした。
タイトルに「3D」なんてついてるから3D上映しかやっていないのかと思いきや、フツーに2D上映もあったらしい(笑)。原題はずばり「EVEREST」なのに。なんのために3Dをつけたのでしょうか。
わたしは上映中に3Dメガネが壊れ、こちらも若干パニックでございました・・・。
ということで、/5
4DXでもないのに心なしか観ていて寒さを感じました。きっと気のせい。